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(書評)bella peregrina. カワイイ天狼の育てかた。

著者:山下奏昌



「あなた、私に乗りなさい!」 異世界であるパラフェ渡界とのゲートが開き、交流が始まった時代。交流の一環として行われることとなったパラフェ渡界のバトル・イベント「エンジェル・ライド」。見物に来ていた雅文は、目の前でライダーが振り落とされるのを目撃する。そして、ライダーを失い、暴走しそうになったエンジェルのオルから、自分に乗るよう要求してきて……
第10回GA文庫大賞奨励賞受賞作。
最初に設定を書いておくと、エンジェル・ライドというのは異世界人が、鳥とか、そういう生物のような姿に変身し、その上にライダーが乗って、ゴールまでの速さを競う競技。で、ライダーを失うと、エンジェルは暴走する危険性がある(この辺は、競馬における馬と騎手の関係に似ている) そして、ライダーは「能力」を使ってほかのエンジェルとバトルなどをすることもある。
で、雅文は地球人であるのに、なぜかオルというエンジェルのライダーになることになってしまう。そのオルは、スピードやスタミナなどはあるのだけど、「自由に飛びたい」とライダーの指示とかが大嫌い。しかも、その作戦などもうまくないので、実力が発揮できない。そんな存在。一方の雅文は、というと、パルフェ渡界の研究者を目指しており、しかも、高校の生徒会長として様々なことをうまく指揮してきた、という存在。その二人が出会って、やがてトップを目指して……と……
正直なところ、ライバルであるスキムといった面々が、雅文に惚れていく、という過程についてはちょっと唐突な感じはした。特にスキムについては、どちらも理論派なので「話が合う」とかは思うだろうけど、途中から明らかに恋心になっていて……だし。
ただ、雅文が地球人(というか、日本人)であり、だからこその「地の理」を制して作戦を実行していく、というあたりは素直に面白い。例えば、瀬戸内海を通り、大阪から福岡へ。チェックポイントとして4つの橋の下を潜る。日本に住んでいるからこそ、地図などの情報があるので正確な位置などを知り、無駄なく進める。中国地方と四国に挟まれた場所であるため、風などの影響が少ないから……。もちろん、架空の競技ではあるんだけど、そういう話を入れていくことで「ありそう」というリアリティが生まれている。そして、そのあたりが信頼関係に繋がって……というのも。
何ていうか、非常に安心して読める作品という感じなのかな? 架空ではあるけど、ありえそうな感じがする競技。その中でのライバル関係(ツンデレさんな天才ライダー・フォルティとか(笑)) そして、信頼を深め合っていく雅文とオルの関係性。そういうのは奇を衒わないからこそ、まっすぐに感じられるのだと思う。素直にそれを楽しめた。

No.4939

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