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(書評)玉響荘のユーウツ

著者:福田栄一

玉響荘のユーウツ (トクマ・ノベルズ Edge)玉響荘のユーウツ (トクマ・ノベルズ Edge)
(2005/10/21)
福田 栄一

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経営したメイド喫茶を潰してしまい、借金の取立てに苦しむ志郎。そんなとき、資産家の祖母が残したアパートの相続が決まる。その土地を売れば借金は完済。けれども、そのためには住人たちに立ち退きしてもらわなければ。期限は4日後、志郎の奮闘が始まる…
物語の導入は冒頭に書いたものなのだけど、展開としては、これまで読んだ福田作品同様、ちょっとお人よしな主人公が、住人たちに立ち退いてもらうために奮闘。その条件として、住人たちが抱えているトラブルを解決していく…というもので、これまで読んだ『A HAPPY LOCKY MAN』や『エンド・クレジットに最適な夏』と同じようなパターンと言える。
アパートがなければ住む場所がなくなってしまう老婆、喧嘩騒動を起こして警察に追われているというオカマ、買った建物に「出る」ために住んでいる一家…などなど、住人は、それぞれに「出て行けない事情」がある。5日間、という限られた時間枠もあって、実にテンポ良く物語が進んでいき、そういう意味では一気に読むことが出来た。テンポの良さ、と言う意味では、これまで読んだ作品の中でも一番良いのではないかと思う。追い込まれている、とは言え、悲壮感などはなく、明るい雰囲気で展開するのも良い。
ただ、一方で、いくつか不満点も。まず、主人公とヒロインの美保は、メイド喫茶を、と言うのだが、そういう設定は殆ど活きていない。別に主人公が経営していたのが居酒屋でもキャバクラでも、普通の喫茶店でもこの物語は作れる。また、ちょっとご都合主義で、登場人物の人物像も軽いかな? と。分量が少ないので仕方の無い部分もあるのだろうが(普通のノベルズ版と比べて本作は文字が大きい)
もう少し分量があれば、より良くなっていたんじゃないか、と思うだけに惜しい。

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