FC2ブログ

(書評)犯罪乱歩幻想

著者:三津田信三



江戸川乱歩の作品をモチーフとした短編集。全7編を収録。ただし、終盤の2編は、無関係らしい。
まぁ、最初に書いておくと、私は実は、江戸川乱歩の作品についてはほとんど知らない人間であり、モチーフとなった作品との関連性については殆ど語れないことを最初に断っておく。
1編目『屋根裏の同居者』。昔から、飽きっぽい「私」が住むこととなった古アパート。空き室も多く、不気味な雰囲気もあり、逆に気に入ったそこでの生活。ところが、ふと部屋などから出ると、奇妙な出来事が起こるようになって……
なぜかめくられている日めくりカレンダー。移動している書籍。そして、「私」とならず者の従兄弟との関係。不気味であり、怪奇現象のようにも思えつつも、合理的に説明できた……と思いきや……。著者の持ち味と言えば、ホラー作品と、合理的な解決がされるミステリ作品の融合だけど、ある意味で、その作風を逆手に取った形での決着と言えるのかな? と。
逆に、内容的にもミステリそのものと言えるのが、『G坂の殺人事件』。湖畔亭という喫茶店があるG坂で、その湖畔亭の目の前に住む作家が殺害された。作家を憎む私。作家に酷評された少年。作家と複雑な関係にある喫茶店の店主夫妻。私は、客である老人と、事件について語るのだが……
確かに、このエピソードは最後に1つ、謎が残るのであるがこれは一つの味、だと思う。アリバイトリック、物理トリックなどが駆使されてのもので、ホラー要素がない作品。逆に、こういう作品を著者が書いたのが新鮮だった。
これは偏見という部分もあるのかも知れないが、ホラー作品って、結末がはっきりしない、というか、「で、結局?」というような話が多い印象がある。本作の話のついても、そういう印象を残す。具体的な内容を書いた1編目もそうだし、4編目『夢遊病者の手』にしても、合理的な解決が見えたと思わせて、何か曖昧な形のオチをつけているわけで……
ただ、考えてみると、著者の作品でも、特にある種のメタネタを含めた怪談蒐集の中で……という話はこういう話が多いように思える。その意味では、著者の作風の中に、江戸川乱歩の作品を上手く取り入れた作品集、というような評価をしても良いのかもしれない、という気がしてくる。

No.4951

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0