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(書評)TAS 特別師弟捜査員

著者:中山七里



「ねえ。慎也くん、放課後ヒマだったりする?」 クラスのアイドルで、接点が何もなかった楓に声をかけられた僕は舞い上がっていた。その日、楓が校舎から転落死するまでは。自殺? 事故? それとも? クラスメイトの死に動揺が昼がる中、楓が麻薬をやっていたなんていう噂も。そんな時、捜査のために現れた従兄弟の公彦は、楓の学校での様子を聞くため、僕に捜査を手伝うよう要請してきて……
真面目な話をすると設定にはかなり無理がある。ただの高校生である主人公・慎也が捜査の手伝いを、っていう時点で何だし、しかも、その公彦も教育実習生という設定で潜入捜査を開始。色々と無理があるだろう! という感じではある。
ただ、そういうのをフィクションとして割り切って、純粋な学園ミステリと言うことで考えれば充分に面白い。
物語は冒頭に書いたような形で開始。楓のことを調べるために、深夜は、彼女が部長をしていた演劇部に入部。興味本位だろうと反発をする部員たち。その中での人間関係。そして、そもそも楓という柱を喪ったことで余儀なくされる演目の変更。そのような中、慎也は脚本・演出を任されることになるが、新たな事件が起きて……
半ば、強引に引き受けることになった脚本・演出という役割。しかし、試しに書いたものが評価されたことによる高揚感。そして、仲間たちと試行錯誤する中でのアレコレ。勿論、仲間内での対立などもあるが、しかし、そもそもの捜査ということを忘れてしまうくらいに乗り込んでいく様は素直に楽しい。
そして、そんな中で見えてくる楓という人物。成績優秀で、容姿端麗。非の打ち所がない、と思っていた彼女だが、しかし、それ故の悩みも抱えていた。そして、裏、というほどではないが、しかし持っていた裏の顔。その中で……。その上で、それぞれの事件について、アリバイがどうか? と言った本格ミステリとしての考察なども入っており、ちょっとビターな学園ミステリとしてしっかりと完成されていると思う。
しかし、「特別師弟捜査員」ってタイトルはちょっとよくわからなかった。

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