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(書評)やがて恋するヴィヴィ・レイン5

著者:犬村小六



「何百万人死傷しようとも構わない。俺はファニアのために、世界を焼く」 史上最大の軍を率い、革命の英雄となったルカは、事実上の独裁者として世界そのものを敵に回す。人びとから圧倒的な支持を得ながら、その中身は、というルカに対し、理想を追い求める第2執政のカミーユは悩み……
前巻の感想で、フランス革命の前夜みたい、というようなことを書いたのだけど、そこから言えば、今度は革命後のナポレオンという感じだろうか。
そもそも、ルカにとって反乱軍をまとめた理由はファニアと再会するため。彼自身に理想があったわけではない。そのファニアをジェミニに奪われ、それを奪還するのが目的となっている。世の人びとを、という理想に燃えていたカミーユにとって、その在り方は大きく目的とはずれたもの。しかし、一方で、有象無象の塊となっている共和国をまとめるには、ルカの存在が必要なのも確か。その狭間で悩むことになった中、ルカは世界中を敵に回しての統一を目指す。だが、そこにもジェミニの間諜が紛れ込み……
ナポレオン軍がそうであったように、確かに、戦いに行けば連戦連勝の強さを誇っている。しかし、その足元にある破滅の予感。その脆さは、ジェミニとの決戦を前に明らかになっていって……
そんな感じなのだけど、同時にその終盤に向けての話が、『三国志』とかにおける、三国鼎立がなったあと、当初からいた名将たちがだんだんと消えていく寂寥感。こちらも、ルカの右腕ともいえるメルヴィンであるとか、はたまた、当初から「結末」が見えていたはずのアステルの時間が残り僅かという雰囲気が共通しているような……。そして、そんな両者の話が組み合わさった結末は当然に……
というところで話としては、1つ区切りがついて、新章へ、という形で続いていくわけだけど……
ようやくタイトルでもある「ヴィヴィ・レイン」を巡る話がクローズアップされ、さらに、三層に分かれている世界観そのものが表出。ここまでの、戦の連続、という形での局地戦から、どういう風に変化していくのか気になるところ。

No.4957

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