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(書評)などらきの首

著者:澤村伊智



野崎、真琴らが登場するエピソードを集めた連作短編集。
『ぼぎわんが、来る』のシリーズ作品ということになるんだろうけど、そこまで意識する必要はないかな? 作中のエピソードの時系列もバラバラだし、話としても時事ネタ的なものはちょっと弱いかな? と。
入居率も高い雑居ビル。しかし、5階だけは、なぜか人がいつかない。そこにいると、なぜか奇妙な声が聞こえ、やがて痛みが襲ってくる、という。事故物件でもないのに、なぜ?(『ゴカイノカイ』) いきなりちょっとしたトリックを使ってくる捻り方。このシリーズの作品を久々に読んだので、まず、この人のキャラクターに違和感を覚えずに読んでしまった。最近、シリーズを読んだ人だったら、むしろすぐにトリックに気づいたのかな? という感じがする。
時事ネタ的なものを取り込んだ話として優れているのは、『学校は死の匂い』。雨の日の体育館に現れる幽霊。声やら何やらは、古い建物だから、で説明されていたが実際、真琴はそれが幽霊であることを見抜く。そして、その幽霊は……
直接の原因となったのは、最近、体育祭などでそれをやることが問題視されているアレ。そして、その上で、「皆で一体に!」なんていうような言葉の呪い。これ、作中では幽霊の側が呪いに縛られた形になったんだけど、イジメとか、そういうものがひどくなる原因としても指摘されていたるんだよな。そういうのをどうしても思う。
野崎の学生時代の出来事を描いた表題作。これは、何というか、正統派という印象。
勉強のため、と野崎と共に祖母の家で過ごす寺西。勉強のため、というのは口実で、かつて、嫌な従兄弟と共に入り込んだ洞窟で見たことを確かめるため。「などらき」という化け物がいるから入るな、と言われた洞窟に入ったとき、確かにそこで奇妙な出来事が起こって……
「などらき」なる化け物は実在するのか? そこで起きたことはいったい、何だったのか? そういうものを検証していき、合理的にその謎が解けた、とそう思ったとき……。ミステリ作品的な形で描きつつ、嫌な余韻を残す結末が印象的だった。

No.4962

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