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(書評)救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由2

著者:有丈ほえる



人間との生き残りの死闘を乗り越えたリュトたち。戦いの結果、地表からヘドロが取り払われ、発掘可能な領域が広がった。そんな中、アイルとニナは、アカデミーからの依頼で、千年前の英雄・サイトバル将軍が散った地とされる古戦場跡の発掘を依頼されるのだったが……
第1巻は、発掘アレコレを取り入れながらも、リュトの物語として、三千年の時間が経過したことで何が変わったのか? そして、リュトがなぜ「英雄」に選ばれたのか? そういう世界観を辿る物語という印象が強かったのだけど、今回は、「天才」と言われたニナの物語を中心に、文字通り、遺跡から何がわかるのか? とか、そういう部分が強調された感じ。
で、物語は、冒頭に書いた通り、1000年前、敵軍と戦い、そのままそこで散ったとされたサイトバル将軍。その古戦場を発掘調査することに。しかし、そこで明らかになったのは、そこで大規模な戦が行われていなかったであろうこと。それは、将軍は戦いをせず、他の場所へと移民したということで……。そして、その移動先と思しき場所には、「発掘村」なるものがあり……
新たに移動して発掘を開始した「発掘村」。確かに、そこでは色々なものが出土してくる。しかし、何かがおかしい。その中で……
古戦場の発掘。さらに、発掘村での行動の中で掘り下げられていくニナの天才っぷりと、過去と現在の彼女の違い。とにかく、何にでも挑むように発掘を繰り返してきた過去のニナ。現在でも、発掘されたものを鑑定し、さらに、周囲の状況を見渡して、という才能の片鱗はいたるところから感じる。しかし、彼女の同期だという研究者・アカホヤが言うように、ガツガツとした様子は見えない。リュトは、それは自分のせいでは? と悩むが、ニナにとっては……
ニナがなぜ、かつてと変わってしまったのか? しかし、それは、リュトがニナ、アイルという自分を肯定してくれる人と出会えたから、という理由で落ち着いたのと同じく、ニナにとっても。そんな周囲との良い関係性が導いたもの、という関係性の大切さ。その一方で、発掘村で出会う人間の悪意。その背景にあるこの世界の過去という決して無視できないもの。1巻で世界観そのものをこれでもかと詰め込んでくれたおかげもあり、今回はその中での人びとの関係性を十分に掘り下げることが出来たのだろう、と感じる。
1巻は、それで完結でも、と思ったんだけど、今回は明らかにその後も示唆した形。過去を知り、それをどう克服するのか? そんなテーマ性が好きなだけに、続巻も楽しみにしたい。

No.4964

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