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北海道オーロラ町の事件簿 町おこし探偵の奮闘

著者:八木圭一



病に倒れた父の仕事を手伝うため、北海道十勝の故郷・オーロラ町へ戻ってきた大祐。一時的な帰郷であるはずだったが、街では灯油を盗まれる、という事件が発生。派手な車に乗る大祐は、その犯人ではないかと疑われてしまい……(『灯油盗難事件』)
から始まる連作短編集。
大祐が物語の中心にいるのだけど、視点は1編目が大祐。2編目が妹の里奈。3編目が、町おこしのために奮闘する経営者・安藤。4編目が再び大祐、という形で綴られる。
まず、最初に言うと、謎解き、としてはかなり弱い。灯油の盗難事件。募金詐欺。猟銃による威嚇事件。そして、殺人……と事件が起こるのだけど、所謂、探偵として調査に赴いて、とか、そういうことはなく、物語の中心は日常の生活。その中で、事件のことも耳に入り、そして、ある意味、成り行きみたいな形で真相が明らかになる、という形に。結構、唐突に感じられた真相暴露みたいなものもあって、「あれ?」というような感じがしたことも。
ただ、その一方で、田舎町に住むこと。テレビとかだといかにも綺麗で、ほのぼのとして……みたいな風に描かれる町に住む面倒くささ。その実態を知っているからこその、大祐の逡巡というのが生々しく描かれている。
例えば1編目。地元の出身ではある。しかし、大祐は「出ていった存在」として認識されており、派手な外車を乗っている、というのは、それだけで疑惑の目に晒される。自分が犯人ではない、ということはわかっている。町を愛する気持ちはあるけど、しかし、ここにいても……。また、3編目で描かれる事件の真相については、勿論、安藤のように街を盛り上げよう、という人が必要と思っている。でも、村の道理とか、そういうものもあって……。勿論、こういうのは会社とか、そういうところでもあることなのだけど、田舎の小さなコミュニティだからこそ、全てについて回る、という面倒くささが何とも……
町おこし、という点ではまだまだだけど、そうそう簡単にいかない、っていうのも含めて現実なんだろうな。

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