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推理作家(僕)が探偵と暮らすわけ

著者:久住四季



駆け出しの推理作家である月瀬は、住んでいたアパートが火事となり、家を失ってしまう。先輩の紹介で、「難事件専門の探偵」を自称する凛堂とルームシェアをすることになった月瀬。しかし、凛堂は自由奔放、しかも、掃除なども全くしない生活破綻者。そんな凛堂に戸惑っている中、火災現場で発見した遺体が殺されていたことが判明し、月瀬は容疑者にされてしまい……(『ハートに火をつけて』)
など、2編を収録。
これまで、電撃文庫で刊行されていた著者の作品は、ファンタジー要素が前提の本格ミステリという感じだったけど、本作はそういう要素なしの本格モノ。この辺り、『星読島に星は流れた』の影響が大きいのかな? ちょっと地味目だけど、実に手堅い本格モノをやってくれている。
1編目は冒頭に書いた通りの粗筋。火事に巻き込まれて死んだ、と思われた階段前、301号室の住人は、死亡した後、部屋に火を放たれていた。階段に設置された防犯カメラに不審者が入った様子はない。となると、住人の誰かが? そもそも、なぜ、犯人は、部屋を焼いたのか? 外から入ることが出来るのか? 主人公・月瀬がワトソン役として、仮説の構築と崩壊、というのを繰り返しての作風は実に手堅い。
ただ、話としては2編目『折れ曲がった竹のごとく』の方が好きかな?
大物都議が自宅で殺害された。何者かが侵入した形跡があるが、金銭などは奪われていない。そして、屋敷には脅迫状が……。いがみ合っていた息子。長年、仕えてきた秘書。さらに愛人。それぞれにはアリバイがあって……。それぞれのアリバイを崩す、という部分も面白かったのだけど、後に残るのはその動機。
様々な思惑が絡み合って、ということにはなるのだけど、それを主導した人物。作中で描かれてきたちょっとした話がしっかりと伏線として活きてきて、切ない渇望へ。奔放な物言いで知られた都議と、だからこその黒幕。そのすれ違いが強く印象に残った。
月瀬と凛堂のやりとりは、いかにもキャラクターもの、という感じなのだけど、しっかりと本格モノとしての味を持った作品だと言える。

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