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1/2 デュアル 死にすら値しない紅

著者:森バジル



殺された人間が生き返る。そんな現象が起こるようになった日本。人としての一部分を喪い、引き換えに特殊能力を得た彼らは「偽生者」と呼ばれ、恐れられる存在となっていた。そんな「偽生者」を殺し直す職務に就く少年・限夏は、ある日、相棒を紹介される。その相手とは、「死」を喪い、不老不死となった偽生者・伴だった……
第23回「秋」スニーカー大賞・優秀賞受賞作。
なんか、最初は言い方は悪いけど、特殊能力バトルモノという感じだったのだけど、読んでいるうちにだんだんとハードな方向に進んでいってびっくりした。
物語の基本線としては、「偽生者」を狩る存在である限夏と、「偽生者」である伴がコンビを組み、「偽生者」による国家統一を掲げるテロリスト集団と戦う……という話。序盤は、コミュニケーションをとるためにキャッチボールをしろ、だのという感じなのだけど、テロリストとの戦い。その中で描かれる伴の過去。そして、限夏が偽生者を殺す、という職務に就いた理由というのがかなりハード。
幕末時代に生まれ、その混乱の中で「死」を喪った偽生者として甦った伴。死を喪ったことで、そもそもの生活などにも問題を抱え、周囲の人々が死んでいく。自分も……。そんな思いを抱きながら過ごす中、出会ったのは、テロリスト集団。「死」を与える、という約束で、そこに行ったのだが、そこで待っていたのは文字通りの拷問としか言えないような人体実験の数々。さらに、その中で、彼らが行っていたこと……。自分のような存在を作りたくない。そんな思いから……。ぶっちゃけ、かなりグロテスクな表現などもあるのだけど、それ故に伴の悲痛な思い、というのがよくわかる。そして、同様のことは限夏についても……。話の流れの大筋についてはオーソドックスなのだけど、どこを掘り下げるべき部分をしっかりと掘り下げて惹きつける、というのは見事の一言。
それと、「喪失」したものと、それに伴う特殊能力っていうのもなかなか面白い。「健康」を喪失したがゆえに、相手を病にしてしまう能力とか、「距離」を喪ったがゆえに瞬間移動が可能になった、とか……。これ、色々とバリエーションが作れそうで面白そう。
また、今回のテロリストについては、実態がアレだけど……。ただ、「偽生者」自体にも意志があるし、普通に生活がしたい、という想いもある。それこそ、伴自身についてもそれは間違いなくある。その辺りが突きつけられる、というような展開も出来そう。そういうところを掘り下げるようなエピソードも! ということで、続編にも期待したい。

No.4979

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