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虚構推理短編集 岩永琴子の出現

著者:城平京



妖怪からの相談を受ける『知恵の神』・岩永琴子。彼女の活躍を主に描いた短編集。
シリーズの前作(?)に当たる『虚構推理 鋼人七瀬』を読んだのが実に7年前。記憶が大分薄れているかな……と思ったけど、何となくの雰囲気で覚えていたのだけど、意外と、その記憶のカラーと似ていた(笑)
水神の大蛇に呼び出された琴子。そこで受けた相談とは、殺人犯として逮捕された女が、沼に遺体を捨てる際、「うまく見つけてくれるといいのだけれど」と呟いていたこと。なぜ、女は死体を捨てたのか? そのことについて……(『ヌシの大蛇は聞いていた』)
前作の時は、人が信じることによって、その怪異が「存在する」ことになってしまう。だから、それをどう否定するのか。どう納得させるのか。というのがポイントだった。そして、このエピソードの場合は、大蛇を「納得させる」ことが主題になる。勿論、真実がどうであれ……。とにかく、琴子と大蛇のやりとりが楽しい。色々な状況から、「こうだろう」と推理を披露する琴子。でも、大蛇は、ちょっとしたところで「いや、そうじゃないのでは?」と大蛇は食い下がる。琴子の「面倒くさい」「そんなこと、気にするなよ」という想いに共感しつつ、一応は納得できるように組み立てているのが見事。本当、そんなの本人だって……ってところなんだろうし。
ひっくり返しの面白さでは2編目『うなぎ屋の幸運日』。友人から老舗のうなぎ屋に呼び出された梶尾。妻を亡くした梶尾を、という意図らしかったが、そこになぜか、場にそぐわない若い女性(琴子)が。女性の正体が何なのか? という話を交えながら、その一方で、友人から付き溶けられたのは、「お前が妻を殺したんじゃないか」という疑惑。色々と追い詰められても、しかし、その態度、雰囲気から疑惑を払拭してもらった梶尾。だが……。話としてはブラックそのもの。でも、そのひっくり返しの爽快感に感服。
前作の感想で、九郎、琴子、紗枝という3人の関係性とかが微妙だった、というようなことを書いたのだけど、今作は、紗枝がおらず、琴子をメインにしたため、余計なものもなく、論理的、というか、言い方を変えると屁理屈的なやりとりを素直に楽しむことが出来た。
……ただ、九郎、何気にクズやな(笑)

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