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田嶋春にはなりたくない

著者:白河三兎



田嶋春、通称・タージ。サークルの新入生歓迎会で未成年者の飲酒を許さず、学生証の提示を求めて回るなど、空気が読めない正論モンスター。近づきたくないし、周囲からは嫌われている彼女。けれども、誰よりも公平で、正しく、優しい彼女は、キャンパスで起こる謎を解き明かして……
うーん……不思議な感覚。
それぞれ、同じ大学に通い、それぞれにつながりがある人物視点で綴られる連作短編集。それぞれのエピソードについて、謎が出てきて、そして、それを解き明かす、という形ではある。ただ、それですっきりとまとめられるわけではないこともあり、何ともいえない感じに。
何というか……正直なところ、それぞれの主人公、そして、春、どれもエゴ丸出しな部分があって、年齢相応的な部分もあって……。それが人間らしさ、っていうところなんだろうけど……これは完全にあう、合わない部分があるよな……という感じ。そもそも、春のキャラクターが……。空気を読まず、常に正論で、っていうのにいら立つ、っていうのはまあ、話の前提で良いのだけど、いきなり話が横道にそれてみたり、とか、そういうのが続くので読んでいるとちょっと冗長に感じられる、というか。
その中で、個人的に好きなのは、3編目かな? 春と同じサークルに所属する同級生。しかし、隠しておきたかった自分は2浪している、ということを新歓でバラされ、しかし、その一方で姉御的な立場を手にした奏。春に対して悪評を広げている張本人であるが……。自分自身の立場。劣等感。そういうものがないまぜになりながらも、最終的に、春の言葉で、少し前向きになる。その読後感が良かった。
そんな春も……という5編目。それまでのアレコレがあって、っていう部分の集大成になるわけだけど……
ごめん、どっちかというと、このサークルの面々の乱れっぷりの方が気持ち悪いわ!
確か、著者のデビュー作でも、面白いと思える部分もあったけど、その一方で何か気持ち悪さ、というか、そういうものを覚えたことを思い出す。人間のエゴとか、そういうものを描いているから、というのは絶対にあるし、ある意味ではリアリティのある物語と言えるのだろう。人を選ぶ話、っていうのは間違いないと思う。

No.4988

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