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死神刑事

著者:大倉崇裕



強盗殺人、偽装殺人、痴漢冤罪、誘拐……。裁判の結果、無罪となったとき、その事件を再捜査する刑事が現れる。捜査に関わった捜査員を一人、相棒に選び、その相棒は出世の見込みがなくなるため、「死神」と呼ばれるその刑事・儀藤は……
という連作短編集。全4編を収録。
話として好きなのは1編目かな? 1年前、伯父を殺害した容疑で逮捕されたものの無罪になった男。しかし、被告は釈放後、行方不明になっていた。所轄の側で、捜査に協力した大邉は、儀藤の相棒に指名されて……。
被害者とは不仲で、同期はある。しかも、当初は自白をしていた容疑者。しかし、裁判になって自白を撤回。さらに、アリバイも確認されて万事休す。そんな中で、被疑者の姉らに聞き込みをする中で……。聞き込みの中で出てきた不可解な行動を取っていた人物。そこで、一つの事件が明るみになった……と思いきや、のひっくり返し。その鮮やかさと、最後の最後に儀藤が言う「死神」の意味。自分が出ることで、様々な関係性、人生が終わってしまう。それを実感させる結末が非常に印象に残った。
ただ、それとは逆の読後感を得られるのが3編目。
痴漢の容疑で逮捕された男が無罪に。男は、怪我をしており、取り調べ中に刑事に暴力を振るわれたのでは、というものも、その一因になった。相棒に選ばれたのは、身体は大きいが、気が弱く、でくの坊扱いされる榎田……。正直なところ、事件の真相のサプライズとか、そういうものは少ない。ただ、儀藤との捜査、その中でのやりとり。そういうものに感化され、そして、最後の最後で……。榎田の成長というのが感じられる読後感の良さが凄く良い。
過去の事件について、資料やらを掘り起こして……とか、そういう意味での「緻密な検証」というタイプの作品ではない。はっきり言って、かなり強引なところ、というのも見え隠れしている。そういう意味で、本格モノ、としての部分は弱いかも知れない。でも、不気味に見えていた儀藤の捜査。それに付き合わされた相棒たちの成長と、何気に心憎い儀藤の置き土産。それらが、一種の人情モノとしての味わいに転化しているのが何よりもの特徴と言えるだろう。読み終わって、意外と良い読後感を味わうことが出来た。

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