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セブンス・サイン 行動心理捜査官・楯岡絵麻

著者:佐藤青南



河川敷で発見された真っ白な着物を着た男性の餓死死体。死体の胃の中からは漆が見つかったことから、即身仏を試みたのでは、という意見も出るが、死体には監禁された形跡が……。行動心理学により、相手の仕草から嘘を見破る楯岡絵麻は、死体が入っていた宗教団体の関係者に事情聴取をするが、嘘をついている様子は見当たらない。だが、聴取の途中で……
シリーズ第7作にあたる長編。
長編、という形ではあるが、しかし、内容的には各章で取り調べをして、その中で絵麻が相手の嘘を見破って……という形で進んでいくため、連作短編的な感じがするのは確か。特に、第1章については、死体の第一発見者の言っては悪いが、犯罪とはあまり関係のない部分についてのやりとりだし……。そんな構成の関係もあって、同じようなやりとりの繰り返し、という感じがする部分はあったかな? というのは思う。
ただ、今回は相手が宗教団体、ということもあり、その団体内でのアレコレ。そこに巻き込まれる子供、というのが印象に残った。
新興宗教団体、ではあり、信者が……なんていう部分がなかったわけではないが、しかし、それほど過激なことなどを言うわけではなかった団体。故に公安などのマークも薄かった。しかし、最近、急激に終末思想などを取り入れるようになってきて……。そんな中での事件。作中でも出てくるが、オウム真理教などの、信者がそこから離れられないようになっていく仕組み。そして、取り調べの中にある、なぜ、熱心に信仰をするのか、という動機などは「こういう部分も……」と思わされる部分は多い。さらに、教祖が行方不明の中、事実上のトップである教祖の妻の取り調べの中で明らかになるもの……。これ、どんな団体などでもあり得ることだとは思うのだけど、特にこういった宗教団体のようなものでは、内情のドロドロさとかが桁違いに多くなるだろうし……と思えてならなかった。
そして、その一方で、重病を抱えた少女と、信仰をする母親という物語。同じようなテーマは、知念実希人氏の作品とかでもあるんだけど、この作品で印象的なのは、「お母さんが喜ぶから」という点。自分の病が、親にとっての心配の種。それは子供だってわかっている。だからこそ、親に心配をかけさせないために。親に喜んでもらうために……。似たようなシチュエーションの話は知念実希人氏の作品とかでもあるんだけど、子供の側の心理からのアプローチで描かれる部分は、素直に心に響いた。本当、痛々しい……
多分、もっと短い分量で書こうと思えばかける内容じゃないか、とは思う。思うけれども、宗教、医療……そういうものについてのアプローチなど、読みごたえも十分にある作品だと感じた。
……で、西野絡みの意外な展開もあるし。

No.5005

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  • 2019.02.01 (Fri) 23:30 | 刹那的虹色世界