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ダービーパラドックス

著者:島田明宏



実業家・堂林の所有馬が次々と故障。期待の2歳馬ジェメノも、デビュー戦で大敗を喫してしまった上に、レース後に競走馬として致命的な欠陥と言われるボーンシストを抱えていることが判明してしまう。何かあるのでは? 競馬記者の小林は疑惑を調べるのだが、そんな矢先、先輩記者の沢村が不可解な死を遂げ、小林自身も何者かにつけ狙われるようになる……
著者は、文字通り、競馬ライターとして活躍をし、JRA馬事文化賞を受賞した『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』などを記した人物。そんな著者の綴った競馬ミステリー。
引っ張る力があるのは間違いない。実業家・堂林の持つ馬の度重なる故障。先輩記者・沢村の死。その中で、渦中のジェメロは、生産者に買い戻され、しかも、手術を経ての復帰を狙うという。堂林による保険金詐欺? 馬主と生産者の関係は? 沢村は何をしていたのか? WEB上に現れる小林を騙る存在。さらに、復帰したジェメロの思わぬ活躍。そこで湧き上がる替え玉疑惑。
様々な謎が次々と出てくる。さらに、小林を狙う存在はいったい誰なのか? 誰が味方で誰が敵なのか? 誰も信じられない、という緊張感に溢れる物語の流れは見事の一言。
その中のメイントリックについて。競馬ミステリ……というか、競馬そのものに纏わるエピソードなどの中でも定番中の定番のものなのだけど、古典的なそれとは異なり、現在の技術とか、そういうものがあるからこそ可能になるもの。そして、人間側の、一種のエゴというようなものについて共感できるものがあった。
……ただ、それ以外の部分は何とも不完全燃焼というか……
悪役たる堂林が、何とも間抜けな感じで、いかにも小者というような扱いになってしまったし、結局、その中で行われたことも、ある意味では……という感じだし……。これを単純に「良い話」としてまとめて良いものだろうか? という想いがどうしても残る。その辺りが、ちょっと引っかかった。

No.5011

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