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罪の余白

著者:芦沢央



どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう――。安藤の娘・加奈が学校で転落死した。「全然、悩んでいるようには見えなかった」。クラスメイトからの手紙、教師の言葉。しかし、それを聞いた安藤は、なぜ娘が死を選んだ理由への疑問が強く芽生える。安藤の元へ弔問に訪れた少女。娘の日記を探す安藤。二人が出会い……
第3回野生時代フロンティア文学賞受賞作。
私が手に取った本書の帯には、「この女子高生……超かわいいけど、中身はモンスター!」という言葉が載っているのだけど……モンスターっちゃあモンスターなんだけど、ある意味、年相応の、というような印象が強いかな? という風に感じた。
物語は、安藤。安藤の娘を死に追いやった少女・咲。安藤の同僚で、安藤に思いを寄せる早苗の視点で綴られる。
物語の中心となるのは、所謂スクールカーストとか、そういうものなのかな? 学校の中でのグループ。その中で出来上がる上下関係。ちょっとしたことから始まる加奈へ対するイジメ。それも、周囲にはわからないような形で……。そのような状況になっても加奈にとっては、そこから逃げることすら出来ない息苦しさ。そして、いざ、加奈を死に至らしめた後、咲にあったのは、保身の想い。そして、そのために最も効率的だと考えたのは……
確かに、咲という人間の歪んだ自尊心というか、そういうものは悪女そのもの。ただ、じゃあ、何かしでかしたとき、それを上手くごまかそう、という気持ちを抱かないのか? と言えば、そんなことはないだろう。そして、悪女ではある。策略も仕掛けている。でも、その策略は、文字通り、「子供だまし」レベルな稚拙さを持ち合わせている。そのアンバランスさ、というものが逆に、「こういう奴、いる!」というリアリティに繋がっているのではないかと思う。娘の死に衝撃を受け、そして、その感情を咲によって誘導される安藤、という部分でのスリリングさ、というのも見どころの一つだろう。
物語の内容としては、シンプルだ、と言うことは出来るだろう。しかし、シンプルであるがゆえに、それぞれの人間性がじっくりと描かれ、読みごたえとなっている作品といえよう。

No.5023

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