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肉弾

著者;河崎秋子



建設会社を経営する父の下に育った貴美也。父に対する嫌悪感を拭えないものの、表立った反発も出来ず、現在は大学を休学中し、引きこもり気味の日々を送る毎日。そんなある日、半ば強引に父は、貴美也を北海道での狩猟へと引きずり出す。だが、地元ガイドの警告を無視して、訪れたカルデラ奥地で、父はヒグマに襲われて絶命し……
第21回大藪春彦賞受賞作。
何というか、凄くシンプルな、主人公の成長譚とでもいうのだろうか。
小さなころから引っ込み思案。しかも、かつてのトラウマもあって社会に馴染めないままに過ごす貴美也。父は、そんな彼に銃の免許を取らせ、北海道へと引っ張り出す。そこでも、強引に、ヒグマ狩をしようと立ち入り禁止の山へと入り込み……。当初は、文字通り、貴美也は、引っ込み思案、投げやりな思いを抱いている青年。父が悪人ではないことはわかっている。しかし、その強引さはただ煩わしいだけだし、自分のことなど何もわかっていないという反発心も抱く。でも、じゃあ、表立って反抗できるのか、というと……
そして、そんな中での父の死。そして、そんな中で、自分も……と思うのだが……
巨大なヒグマの襲撃。さらに追い打ちをかけるように追いすがる人間に捨てられた野犬たちの襲撃。どうせ、と思いながらも、その攻撃に傷つく中で、思うのはただ一つ。「死んでたまるか!」。かくして、貴美也と野犬、ヒグマの格闘が始まることに。物語としては、物凄くシンプルな流れ。そして、その中で綴られるメッセージもただただシンプルに「生きたい」という想い。でも、そのシンプルさ故にぐんぐんと惹きつけられた。
これだけ話の流れを書いておいて何だけど、あまり情報とかを入手しないで読んだ方が面白く読める話じゃないかと思う。シンプルイズベスト。そんな言葉がしっくりと来る。

No.5028

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