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つるぎのかなた

著者:渋谷瑞也



県立藤宮高校に転入した水上悠。新入生を迎え、新入部員の勧誘合戦が始まる中、彼は、新入生の深瀬史織と出会う。そして、彼女に半ば強引に、剣道部の見学に連れていかれるのだが……
第25回電撃小説大賞・金賞受賞作。
本書を読み終わって、いや、読みながら一番思ったことを最初に書かせてもらう。それは、ずばり。
読みづらい!
ってことだったりする。とにかく、序盤から次から次へとキャラクターが登場。しかも、それぞれの視点が短いスパンで切り替わる。しかも、その中には、こういう言い方は何だけど、物語の本編に全く関わらない会話やら、SNSでのやりとりとか、そういうものも大量に含まれる。その結果、誰の台詞なのか、というようなことが把握しづらく、なかなか物語に集中できなかった。
物語のコアの部分は非常にシンプルで、なおかつ、熱いものがある。
主人公(で良いんだよな?)の、悠は、剣道道場に生まれ、祖父の下で「最強の剣士」として結果を出してきた。しかし、剣道以外に何も持たず、しかも、自分と渡り合える存在もいないことに退屈をしていた。そして、祖父の死をきっかけに剣道から距離を取っていた。一方、高校剣道会最強の剣士とされる乾快晴。その妹で女王こと、吹雪。彼らにとっての剣道とは……
剣道のために、他に何も持たなかった悠。彼にとって、剣道とは打ち込めば打ち込むほど虚しさを感じさせるものだった。一方、かつては、悠に全く歯が立たなかった快晴。強くなるためには、それ以外をすべて犠牲にしても……。同じことは妹・吹雪にとっても言えて……。そんなあり方に嫌悪感すら抱く悠。でも……
その両者がぶつかり合う終盤の戦いは素直に「熱い」。それは確か。
ただ……それならばそれで、もっとシンプルにそこだけでやってほしかったなぁ、と。恋のさや当てだったり、しょーもない会話だとか、そこに纏わる視点展開が物凄く足を引っ張っているように思う。370頁ほどの分量なわけだけど、3分の2くらいに圧縮できたんじゃないか? と思えてならなかっただけに。

No.5029

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