やがてはるか空をつなぐ
- 09, 2019 12:58
- や行、ら行、わ行の著者
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著者:山之臨


海歩高校物理部。ロケットオタクの青桐、プログラマーの山花、天真爛漫な後輩・佐奈。バルーン実験を行うその当日、彼らは、近くの高城高校に通う少女・赤森遥と出会う。活動に興味がある、という遥は、学校の枠を超えて、物理部に入りたい、というのだが……
第20回えんため大賞・特別賞受賞作。
正直なところ、序盤はかなり読みづらい、というのを感じたのだけど、だんだんとそれが解消され引き込まれた。
物語は、物理部の面々と遥の出会いから始まり、それぞれの章で、登場人物 それぞれの事情が、その視点で綴られていく。その中でのだんだんと、子供の立場で、でも、色々と考えられる年齢になっているからこそのもどかしさ、というものが強く感じられる。
まぁ、序盤の青桐自身の事情は、ともかく、海歩高校と高城高校というものの関係性。その高城高校の経営者の娘・真琴がクローズアップされてくる辺りから、特にそれを感じる。元々、地元一の進学校であった海歩高校。一方、名門女子高であった高城高校。しかし、少子化という時代の中にあって、女子高として学校を維持することが出来なくなり、共学化、そして、進学校を目指す。だが、それはなかなかうまくいかない。そのような状況にあり、経営者の一族という理由もあり、高城高校に入らざるを得なかった真琴。さらには、地元の名士である、というしがらみに翻弄されていく。そして、それは地元の名士である山花もまた同様。無論、佐奈にも……
ロケットを打ち上げる。
これ、物語の目的ではあるのだけど、でも、所謂、物理の研究とか、そういうところではなく、純粋に「一つの希望」という形なんだよね。どこにも行けない。雁字搦めで動けない。そんなだからこそ、はるか上空まで行くことが出来るロケットは解放の象徴とでもいうか……
青桐辺りはともかく、客観的な部分では、山花あたりの事情は変わっていない。でも、一つの行動が、自分自信を捕えていたものに対する行動へも繋がっていく。そんなエピローグが印象的。
No.5042

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。
海歩高校物理部。ロケットオタクの青桐、プログラマーの山花、天真爛漫な後輩・佐奈。バルーン実験を行うその当日、彼らは、近くの高城高校に通う少女・赤森遥と出会う。活動に興味がある、という遥は、学校の枠を超えて、物理部に入りたい、というのだが……
第20回えんため大賞・特別賞受賞作。
正直なところ、序盤はかなり読みづらい、というのを感じたのだけど、だんだんとそれが解消され引き込まれた。
物語は、物理部の面々と遥の出会いから始まり、それぞれの章で、登場人物 それぞれの事情が、その視点で綴られていく。その中でのだんだんと、子供の立場で、でも、色々と考えられる年齢になっているからこそのもどかしさ、というものが強く感じられる。
まぁ、序盤の青桐自身の事情は、ともかく、海歩高校と高城高校というものの関係性。その高城高校の経営者の娘・真琴がクローズアップされてくる辺りから、特にそれを感じる。元々、地元一の進学校であった海歩高校。一方、名門女子高であった高城高校。しかし、少子化という時代の中にあって、女子高として学校を維持することが出来なくなり、共学化、そして、進学校を目指す。だが、それはなかなかうまくいかない。そのような状況にあり、経営者の一族という理由もあり、高城高校に入らざるを得なかった真琴。さらには、地元の名士である、というしがらみに翻弄されていく。そして、それは地元の名士である山花もまた同様。無論、佐奈にも……
ロケットを打ち上げる。
これ、物語の目的ではあるのだけど、でも、所謂、物理の研究とか、そういうところではなく、純粋に「一つの希望」という形なんだよね。どこにも行けない。雁字搦めで動けない。そんなだからこそ、はるか上空まで行くことが出来るロケットは解放の象徴とでもいうか……
青桐辺りはともかく、客観的な部分では、山花あたりの事情は変わっていない。でも、一つの行動が、自分自信を捕えていたものに対する行動へも繋がっていく。そんなエピローグが印象的。
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