出会ってひと突きで絶頂除霊！４

著者：赤城大空



かつて、世界を滅ぼしかけた大魔族・サキュバス王。晴久に宿った謎の少女・ミホト。魔族さえ圧倒するその力を危惧した退魔師会は、十二師天にその処遇を一任する。そんなとき、美咲の血の覚醒による制御の可能性が出てきて……
あとがきでも書かれているけど、前半、後半で２つの話という感じ。
宗谷家で、美咲の力を覚醒させるために行われたのは……セックスしなければ出られない部屋！　何ですか？　このエロゲみたいな設定。しかも、例えば、エロゲとかの場合だったら、数日とか、そういうレベルなのだろうけど、宗谷家の場合、ちゃんと食料とかの供給設備などもしっかりとあって、何か月でも、何年でも……。こういうところだけしっかりとすな！　妙にノリノリな美咲母、ゲッソリとした美咲父とか、変なところが生々しいことも含めて変なところに設定が凝っている。
……まぁ、そんな仕掛けすら凌駕して脱出できちゃうのはお約束としても……
そして後半は、十二師天・紅葉姫の寵愛を受ける、皇樹家当主・夏樹を巡っての物語。
……なんていうか、オチは速い段階でわかった！　ただ、晴久とは、いつも口喧嘩を、というようなやりとりをしながらも、自分の土地では、人々に慕われ、しっかりとした領主としての顔を持つ夏樹。さらに、そんな夏樹の秘密と、神話などにもある設定というものの中での葛藤というのはしっかりと描かれていたと思う。実際、神域とか、そういうところでは、こういう設定のものはあるしね。生真面目だからこそ言えない。生真面目だからこそ、深みにはまってしまう。そういうところはリアリティがあったし、そんな夏樹を見守る紅葉姫もしっかりと大人……と思わせておいて、最後に酷かった（笑）　でも、晴久のある種の酷さが、年相応の夏樹を引き出して、っていう辺りは凄くよかったと思う。
終盤のバトルも酷い戦いをしながらも、でも、それぞれが自分の力を発揮して危機を脱出していくとか、なぜか熱いし。色々と酷い！　でも、感じ……じゃなかった、燃える！　ちゃんと締めるべきところは締められた話で楽しかった。

Ｎｏ．５０４３


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