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デスペラード ブルース

著者:江波光則



神座市で起きた一家惨殺事件。生き残りである筧白夜は、その記憶から逃れるようにその日暮らしをしていた。そんなある日、不良たちに絡まれてしまう。そんなことで、自分の力を同僚・長谷川黒曜に知られてしまう。同じ神座出身であるという長谷川により、神座の覇権をめぐる騒動へ、白夜は巻き込まれて行って……
相変わらず、なぜにこれをライトノベルレーベルで出すのか? という感じがする物語だなぁ。
設定としては、冒頭に書いた通り。殺人術と言われる拳法の修行に明け暮れ、その留守中に家族を殺害された白夜。その犯人を捜し、復讐をしたい、という想いは抱いている。抱いているが、しかし、その具体的な方法はなく、ただ、流されるままに暮らす日々。そんなとき、長谷川に正体を見破られ……
とにかく、白夜の「流されるまま」という部分が印象的。正体がバレた、とはいえ、微妙な距離感のままの白夜と長谷川。しかし、そんなときに、一人の女性と仲良くしろ、という命令が入る。その女性とは、ソープ嬢の歌織。正直なところ、彼女との関係は面倒くさい、と感じることもある。しかし、彼女自身は善良な存在であるし、「普通に」生きてほしい、という思いも常にある。しかし、そんな歌織は、自身の知らないところで、ヤクザの抗争に巻き込まれて……。この辺りの流れも、白夜の「周囲の流される」というのを端的に表している、と言えるだろう。
とにかく、おぼろげながらも自分のしたいことはある。しかし、何かに巻き込まれ、流されるだけの白夜。でも、歌織の死などで、自分の明確な意思も芽生えつつ……という中で、1巻は終了。その意味では、プロローグ的な様相もかなり1巻と言えるのかな? と思う。自分が何をしたいのか。それをはっきりと自覚していく様。それが、今後の物語のカギになっていく……のかな? もちろん、周囲も食えない奴らばかりなので、そういうところからも、今後が楽しみである。

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