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奇科学島の記憶 捕まえたもん勝ち!

著者:加藤元浩



元アイドルの捜査一課刑事・七夕菊乃と変人捜査官・深海安公がバカンスに出かけたのは、かつて不老不死の研究が行われていた、という記科学島。ところが、ついて早々、連続殺人が発生して……
シリーズ第3作。
これまでの話は、本格モノの形はとりつつも、キャリア組である菊乃に対するアレコレみたいな要素が入ったりしていたのだけど、今回は、そういうのは極力排除し、島で起こる連続殺人の謎を解く、という話。島で過去にあった因縁。そして、不可解な事件の様相。そして、事件の被害者である島の有力者・海龍路家に纏わるアレコレということで、横溝正史作品的なカラーを持っている。
そもそもが、高瀬舟で運ばれた生首。さらに、即死状態のはずなのに、炎に巻かれながら動いて飛び降りた遺体。それは、本当に不老不死研究の成果なのか? その辺りの事件のギミック。そして、その中での一人の女性を巡ってのアレコレ……
上に書いた不可能殺人の謎そのものも面白いのだけど、むしろ、この作品のキモは、人間の錯覚とも言うべきもの。
それぞれの事件の現場に残された一人の女性を示す話。しかし、あまりにもあからさまなそれは、本当に犯人を示すものなのか? さらに、一定の法則に従って起こる事件。それを見るからこそ、一定の方向へと誘導されてしまう。それを突く、っていうのは王道のトリックではあるんだけど、先に書いた不可解状況での殺人のインパクトがあるからこそ、なのだと思う。実際、あれだけ露骨に痕跡があったら、そりゃ……って感じだし。ある意味、ミステリとかを読み慣れているからこその落とし穴、と言えるのかな?
それらが判明しての、終盤の怒涛のひっくり返し。これ、怒涛ですげぇ! って感じではある。
あるんだけど、ちょっと怒涛過ぎてゴチャゴチャと感じられた部分もあったりする。ちょこはちょっと残念だったかな、と。

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