ひきこもりな余をどうやって魔王にするというのじゃ？

著者：柊遊馬



「あなたの文章に惹かれました。つきましてはぜひお会いしたい」　小説投稿サイトに自作の小説を発表している守の元に届いた一通のメール。編集者の目に留まった？　浮かれ気分で添付ファイルを開いた瞬間、魔王城へと召喚された。召喚をした家臣によると、次期魔王が極度のあがり症で就任式が行えないのだという……
うん、ヴィレ（次期魔王）可愛い！
物語としては、精神科医でも何でもないごくごく普通の守が、ＷＥＢ上に『あがり症の幼馴染を生徒会長にするまで』という小説を書いていたので、この人に対策をしてもらえれば！　ということで召喚された、という話。その次期魔王・ヴィレは、魔力とか、そういうものは、次期魔王というだけあってとびぬけて強い。しかし、身体の成長が止まってしまい、幼女にしか見えない。それが劣等感になって人前で何かをするのが苦手になってしまった。それをアレコレして……という話。就任式まであと１か月。その間に何とかせねば……となるけど……
基本的に、登場人物は皆、良い人。ヴィレお付きのダークエルフ・ドメスティカは、ヴィレが大好きなのだけど、溺愛するあまりにおかしな方向に行ってしまう。一方、鬼火のウィルは結構、適当。そして、ヴィレに厳しい目を向ける叔父も……
それぞれの掛け合い。そして、結構、真面目なあがり症克服の方法。そして、その中での守とヴィレの対立も……と抑えるべき部分をしっかりと抑えており、テンポよく楽しめた。その中で、小説をＷＥＢで発表しているけど、完結出来ずに終わっている守の葛藤とか、異世界で勝手に演劇とかに利用されている守の羞恥プレイとか、「抜く」ところは抜いてのギャグとかもあったりで、しっかりと最後はヴィレも守も成長しているのが感じられるし。
物語はちゃんと完結しているけど、「就任式って、これで良いんだ」と思うようなところとかもあったし、まだまだ先は長そう。続編が出たら、そちらも読みたいな。

Ｎｏ．５０６３


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