fc2ブログ

きゃくほんかのセリフ!

著者:ますもとたくや



デビュー作以来、鳴かず飛ばずの脚本家・竹田雲太。そんな彼の元に、ある作品の劇場版の脚本をしないか、という案件が舞い込んでくる。しかし、テレビ版放映後に作品はトラブル続き。しかも、依頼主は過去に一悶着あったプロデューサー。さらに、「大人の事情」とやらで、次々と無理難題を出されて……
著者の場合、そして、この設定……どうしても某アニメ作品を思い浮かべてしまう。けど、そういう作品、というわけではない。
何と言うか、「大人の事情」の面倒くささ、なのかな?
作者は、元々、人気ドラマの脚本家で、現在は人気ラノベ作家。そのアニメも成功。しかし、プロデューサー側の方針などもあり、スタッフ総入れ替え。さらに、その中で作者もまた断筆宣言。そんな中で、脚本を受けるのだが……
大人の事情。例えば、スポンサーの意向により、出演者が決まり、それを無理なく入れなければならない。さらに、その出演スタイルについても、「こうしてほしい」なんていう要望まで入り、それをどうするのか、は雲太に丸投げ。そんな中で、恩人の妹・佐江と共に立ち向かう、という形で展開していく。
まぁ、この辺り、ただの視聴者、という立場であっても「うーん……」というのはある。棒読みしかできない芸人とか連れてきて、とかっていうのはいくつか頭に浮かぶし。それにツッコミを入れるだけじゃなくて、それでも……というのは、当然にある話なのだろう。その中で、佐江らと共に、色々と考えて……というのは、(本当にいたなら)優秀な脚本家だよな、というのを感じずにはいられない。明らかに、かなり美化されていたりするのだろうが、面倒くささの一旦というのは描かれているのだろう。
もっとも、原作者の担当が、「原作信者で、原作をちょっとでも改編するのも許さない」とか言っている割に、途中、無茶苦茶な話を受け入れる側になって、しかも、終盤、今度は……とか、ちょっとキャラクターがブレている感じはする。言っちゃ悪いけど、主人公に無理難題を言うだけの立場にしか思えない、とか、そういう点は引っかかった。また、会議参加者の、他の立場とかも掘り下げられていればなぁ、と思う部分も……(こっちはこっちで、色々とあるはずだし)
主人公の雲太が奮闘して、という部分は面白かった。ただ、それだけで、他の製作関係者が単なる悪役にしかなっていない感じで、勿体なさも感じた。それをやってしまうと、分量的に……とか、そういう「事情」は感じてしまうわけだけどさ。

No.5071

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0