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開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎

著者:山本巧次



明治18年。滋賀・逢坂山トンネルの事件以来、共に行動をすることが多くなった小野寺と草壁。鉄道局長に呼び出された二人が、調査を依頼されたのは、開業したばかりの大宮駅で何者かによって脱線させられた貨車について。あるはずのない千両箱が発見されたその事件には、小栗上野介の隠し金という見方がされていて……
シリーズ第2作。
前作は、そもそも「鉄道とは何ぞや?」レベルから人々が理解しておらず、しかも、鉄道などのインフラ整備についての旧藩ごとの対立やら何やらが、という部分が一つの読みどころだったように思う。そして、本作は、その6年後ということもあり、流石に「鉄道反対」とか、そういう形ではなくなっている。その代わりに、新たな歴史的な部分が多く描かれている。
明治維新後、様々な改革が行われた日本。しかし、社会の格差は拡大し、かつての支配層であった士族たちは困窮。自由民権運動も高まりを見せていた。そのような中で……
幕末、高崎に隠遁し、その後、処刑された小栗上野介。その隠し金は今も隠されている? もし、その金があるのならば……
隠し金を巡って、様々に動き出してくる各勢力。そんな中で、鉄道を巡って起こる爆弾事件。襲撃事件。さらには殺人……。それぞれの勢力が、隠し金の存在を巡って駆け引きをしているのはわかる。しかし、そもそも、そんな隠し金はあるのか? さらに、その発端ともいえる脱線事故、その中で発見された千両箱は何者によって引き起こされたのか? という謎はわからないまま各勢力の事情などが見え隠れしていく……
「立派なことを言っているように見えるけど、結局、私利私欲じゃないか」
士族たちにしても、自由党の人間にしても感じられてしまうエゴ。歴史の教科書とかでは、こういう勢力に支持が集まっていた、とか、こういう事件を起こした、なんていうことは出てくるけど、支持が集まりつつも中途半端に終わった。その背景には、やっぱり、主人公である小野寺たちが感じたような「うさん臭さ」っていうのは絶対にあったのだろうと思う。そして、そんな中、隠し金についてもちょっとした解釈を繰り返す形でまとめたのも面白かった。
キャラクター的には、この6年間の間に小野寺が結婚していて、その妻・綾子がしれっと調査に加わったり、はたまた、陰で暗躍していたりする様に笑わせてもらった。この新キャラも良い味を出していて、彼らの物語。第3作も期待したいな、という思いを強くさせてくれる。

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