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神様のスイッチ

著者:藤石波矢



同棲相手との将来に悩むフリーター。街を守る女性警察官。友人の恋の話に巻き込まれた大学生作家。駆け出しヤクザに、八方美人の会社員。それぞれの一夜の出来事が、大都市・東京を疾駆する物語になっていって……
てな感じの群像劇作品。著者が講談社タイガで出している『今からあなたを脅迫します』ともちょっとだけ関わり合っていたり。
群像劇作品というと、それぞれの登場人物が、直接、大きくかかわって……というような作品も多いのだけど、本作は、そこまで強い関連性ではなくて、実は過去に関係があったり、はたまた、ある人物の行動が、ちょっとしたところである人物の行動に影響を与えていたり……というようなそんな関係性になっている。まぁ、一部ではガッツリ関わっている存在はいるが。なんか、これ、私が大好きなTVゲームである
『街』がそんな感じだったな、と思ったりした。
物語の中心軸となるのは、大学生作家である畠山瑛隼、八方美人会社員である春日井允朗が中心となるパートと、女性警官・鴻上優紀と、駆け出しヤクザの志田正好らが中心となる薬物犯罪を巡ってのアレコレ、と言ったあたりだろうか。
あくまでも好みの問題ではあるのだが、どちらかというと、畠山、春日井を巡っての話が好きかな? 大学に入って仲良くなった友人。その友人と恋人・花沙音が別れを巡っていざこざに陥っている。そんな花沙音の相談に乗る中で、二人は恋人のような関係になってしまって……。
日常生活に支障がない程度、とはいえ、視覚障害を持っている花沙音。畠山は、それを乗り越えている彼女の強さに惹かれているが、彼女自身は、そのことに負い目が。特に、花沙音と、その彼女をある意味では慮りながらも、しかし、「何もできない」と決めつけている父への反発。しかし、そんな父の想いは……というのが明確になる春日井パートは好印象。
そんな一方で、優紀、志田を巡ってのパートは、文字通り、犯罪という明確な大事件になっていて、それを緩やかに結びつけるフリーター・美夜子がいて……
正直なところ、全てが上手く……というような話ではない。
勿論、その結果、次なる一歩へ、という形ではあるのだが。
ただ、緩やかながらも、しかし、様々な境遇、状況の人びとが、ちょっとしたことで繋がっていた、という楽しさを見出すことが出来る佳作。

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