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千年図書館

著者:北山猛邦



5編を収録した短編集。
本の裏表紙を見ると、強烈なひっくり返し、というのを売りにしているようだけど、ひっくり返しよりもファンタジー要素と、現代的な部分の組み合わせ方の方が印象的だった。
例えば1編目『見返り谷から呼ぶ声』。呼ばれたとき、振り返ると消えてしまう、という伝説のある谷。シロこと、司郎は、友人のハカセ、ユウキらと共にいる中、その近くで、クラスのアンタッチャブルともいえる少女・クロネがいることを知る……
怪談と言えるような内容。しかし、実際に、そこでは過去に何人も行方不明になっている。現にシロの同級生も……。その理由は何なのか? そして、それが判明した時にあった出来事は……。科学的に解明できたけど、でも……な切ない余韻が残る。
ファンタジーから、という意味で、最もインパクトがあるのは表題作だと思う。
村では凶兆があるたびに、図書館に若者が捧げられていた。その捧げられる「司書」に選ばれたペルは、2年前に「司書」となったヴィサスとそこで再会する。巨人が作った、と言われる巨大な建造物。そこでの役割は、ただ、「本」を地下へと運ぶだけ。だが、そこの司書に選ばれた者は早死にしてしまうという。そんな図書館での生活を始めたペルだったが、そこへ賊が入ったことで……
いかにも、なファンタジーという感じの世界設定。しかし、それが最後の1ページで現実世界へと引き戻される衝撃という意味ではナンバーワン。
十数年ぶりに故郷へ戻ったエドワード。しかし、そこでは、墓地に塔を建てる「塔葬」が慣習として息づいていた。それを主導したのは、元海軍将校のストーク男爵だという。理知的で、科学的知識もある男爵。だが、男爵が夜な夜な、その塔を訪れていることを知り……(『終末硝子』)
このエピソードも1編目に近い感じ。舞台設定としては、産業革命などが起きた頃なのかな? という感じではあるが、その中でも男爵は理知的な人間。そんな彼が、塔葬を主導して、そして、その塔へ行って何をしていたのか……と思ったら、思わぬオチ。そっちかよー!!
思わぬ形、という意味では、確かに煽り文句の通り。ただ、謎解きによって、というよりも話が斜め上に、というような印象が強かった。

No.5088

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