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早朝始発の殺風景

著者:青崎有吾



5月中中、眠い目をこすりながら始発列車に乗り込んだ加藤木は、ガラガラの車内にクラスメイトの殺風景がいることに気づく。通学にはあまりにも早すぎる時間。共に、学校に行く前に「野暮用」があるという二人は、互いの目的についての推理を始めて……
という表題作など5編+αを収録した短編集。
一応、5編とも、同じ町を舞台にして、主人公は高校生。そして、互いの会話の中から、「実は」という真相に近づいていく、という形式をとっている。そのため、どちらかというと、日常の謎、に近いテイストかな? というのを思う。
その中で、一番、「日常」からかけ離れているのが1編目である表題作。粗筋に書いたように、午前5時半という通学には明らかに早すぎる時間に通学する格好で電車に乗った二人。勿論、二人には目的がある。それも、あまり人に言えないような……。それについて、何気ない(?)会話をしながら、互いに探り合いをしていく……。普段、ほとんど接点のない二人が会話の中の不自然な点。はたまた、相手についての性格とか、そういうものを認識しながら……での結末。ちょっとブラックな終わり方を含めて、インパクトでは一番の話かな? と思う。
読後感が良かったのは2編目の『メロンソーダ・ファクトリー』と、5編目の『三月四日、午後二時半の密室』。
2編目は、ファミレスで、文化祭のクラスTシャツのデザインについて話し合う少女たち。しかし、その中で、普段は自分に反対しない詩子が、珍しく真田の意見に反対した。その理由は? というもの。一方の5編目は、クラスの中でもちょっと変わった存在であった煤木戸さんが、高校の卒業式を欠席した。クラス委員だった草間は、彼女の家に卒業証書を届けに行って……
どちらも、会話の中で、相手の思惑を探る、という話。ただ、どちらも、何かを企んでいる、というわけではない。そうではないのだけど、秘密を抱えている。それについて、思いを寄せていって……。ブラックさ、とか、そういう形ではなく、ただ純粋に相手の考えを知り、相手について良い意味での理解を得る。そして……。謎を解き明かすことによってその関係が一歩進んで……という結末がすごく心地よかった。
最終編は、タイトルの通り『エピローグ』。つまり、後日談。これについては、一応、各エピソードで語られなかったもの、とかもあるんだけど、別になくても良かったかも。

No.5092

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