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滑らかな虹

著者:十市社





「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」 担任教師である柿崎が提案した『ニンテイ』という名のゲーム。この奇妙なゲームが、クラスの子供たちの未来を左右することを、まだ誰も知らなかった……
物語は、その『ニンテイ』ゲームに参加した生徒・百音と、柿崎の同僚の教師・あやめの視点で綴られる。そして、物語は、そのクラスにいたころから数年後、少5だった百音が、かつての担任である柿崎に手紙を書こうとする、というところから始まり、過去の出来事が……と続いていく。
ミステリ・フロンティアというレーベルから刊行された上下巻構成の物語。……なのだけど、あまりミステリ色というのを感じなかったかな?
『ニンテイ』ゲームとは何か? それは、各自が自分で申告した「特殊能力」が使える、ということにするゲーム。能力を使うには、ドロップという代償が必要で、その能力には様々な制限が掛かる。それによって、行動とか、人間関係などにも影響を及ぼすことになる。そして、その中で一人だけ「エンド」というコールを使え(代わりに、特殊能力がない)、ゲームを終わらせることが出来る。
これだけを見ると、特殊能力バトルみたいな話にも見えるけど、あくまでも現実的な中での世界。あくまでも「遊び」。しかし、その制約は大きくて、人間関係などにも大きな影響を与えていく。さらに、誰がどういう能力を持っているのか? という謎も現れる。そういう部分ではミステリ的なのだけど、あくまでも人間関係の中のアレコレというのが中心。特に、前半、そもそもゲームに消極的だった百音が、ゲームの中で、ある種のイジメ的なものを見聞きしつつ、やがて、その能力で……と言うような部分にそれを感じる。
勿論、教師の側としても、ゲームを通して、クラス内の人間関係を把握したい。また、その固定化したものを、という狙いもある。ただ、その一方で、柿崎とあやめの人間関係など「オフ」の部分でも進展していって……。学校での顔と、プレイベートでの顔があるのは当然で、そういう意味でも、日常、という感じがする。しかし、その中で浮き彫りになっていく一人の少年……
他の方の感想などを見ていると、話の締め方自体にも、賛否があるようなのだけど、個人的に、この終わり方自体は嫌いじゃない。
ただ……なんか、作品のバランスと言うか、そういうものが引っかかる。正直なところ、小学校5年生が、そこまでこの「ゲーム」に夢中になるものだろうか? 途中、恋愛についての話題とかも上がるけど、それだけに……。一方で、小学5年という年齢だからこそ、の結末でもあるんだけど……終盤の攻防……わざわざ、大人の側がそれに付き合うんだろうか? ある意味では追い詰められた状況なわけだし……。そういう部分がどうにも引っかかってしまった。

No.5094 & No.5095

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