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閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎

著者:木元哉多



シリーズ第5作となる短編集。全3編を収録。
今回は、どちらかというと、動機、ホワイダニットに重点を置いた話が多かったかな?
1編目は、類まれなる才能を持つものの、練習嫌いであったバドミントン選手の夏帆。国際大会での成績は伸び悩み、歯牙にもかけなかった国内の選手にも苦戦をするように……。そんな矢先の怪我。それをきっかけに引退をしたのだが、父の遺言、そして、ふとしたことから怪我が完治したことを知る。秘かに復帰を目指したその矢先……
一応、謎解きに関しては、誰が可能だったのか? という部分で話が進むのだが、物語の中心になるのは、「なぜ?」という部分だろう。父の葬儀に集まった面々の言葉。その中で、明らかに違和感を覚える人物。そして、その人物は……。そういうところを考えると、どうしても、ホワイダニット、という部分が強調されているように思える。
2編目は、屋上から落ちてきた少女に、事実上、巻き込まれるような形で死亡した大地。落ちてきたのは、クラスでも地味な、しかし、その素顔はとても美しく、一目ぼれした少女。なぜ、彼女は、屋上から転落してきたのか? その前後に起きた出来事。さらに、学校内で噂される話。それらを結びつけると……
これについては、完全にホワイダニットと言えると思う。ぶっちゃけ言うと、犯人が誰か? というのとはちょっと違う気がするのだけど、様々なことが一つの線として繋がっていくのは素直に面白い。状況証拠を結びつけた形ではあるのだけど、最終的に、沙羅とのやりとりを通して(記憶していなくても)、成長したとか、読後感も良かった。
ある意味、シリーズ待望というか、そういう話である3編目。巨大グループ企業の子会社社長である土橋は、ミスだらけの部下を首にした直後の休暇。別荘の地下室に閉じ込められてそのまま死亡した。決して能力的に優れていたわけではない。現在の親会社の次期後継者と言われる青年が、幼き日に遭遇した事故で、彼を救ったため。しかし、実は、彼の兄である友人を見殺しにしていて……という過去があった。
ネタバレではあるけど、このエピソードは、シリーズ初の推理失敗パターン。
そもそも、沙羅が非協力的だし、普段は10分とされている推理時間が3分と言う極悪設計。そして、何よりも、その犯人は……
……素直に言うね……
わかるかーい!!
いや、確かに沙羅自身もヒントを出してはいるんだ。いるんだけど、かなりの程度、無茶ぶり、って感じの話。
ある意味、沙羅の善悪感とか、そういう部分が出た結果、ということも言えるのだろう。ただ。ちょっと、アンフェア気味じゃないか? という風にも思えなくはない(こういったパターンならば、『負け犬たちの密室』の2編目のような形の方が好きかな? と……)

No.5114

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