FC2ブログ

鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない

著者:三咲悠司



郷土史研究部とは名ばかりで、ウサギ先輩(稲葉白兎)の趣味を実践するだけの部活に、強引に入部させられたキタローこと、鈴木太郎。今回の取材対象とされたのは、隠れキリシタンの里として売り出し始めた村のこと。2泊3日の合宿旅行だ、というのだが……
第11回HJ文庫大賞・奨励賞受賞作。
うん、なかなか面白かった。
物語は、冒頭に書いたような流れで、奥多摩で、隠れキリシタンの里だという伊沢村という村へと言って、そこを巡って……というような形で話が進められていく。
なんていうか、キャラクターの設定とかは、ちょっと前の作品のノリ、という感じかな? 可愛いけれども、破天荒なヒロインに振り回されてヘトヘト。でも、その可愛さなどもあって、何だかんだと彼女の言うことに従ってしまう主人公。なんか、こういう関係性って、ちょっと前によくあったでしょ?
で、そんなやりとりを交えながらの村の探索。まだ、本格的に観光客を呼ぶ、という体制ではない、と言いながらも歓迎してくれる村の有力者たち。その村の有力者の元には「聖櫃」ではないか、という箱がある。さらに、村の人々の名前も、キリスト教を彷彿とさせるものが……。しかし、その一方で、何かを隠している様子もあり、ある少女は、村について辛辣な言葉を掲げている。果たして、隠しているものとは?
物語終盤、ライトノベルレーベルだから、という感じの形になるのだけど、そこを除けば、一般レーベル、少なくともライト文芸とかとして刊行されている作品でも十分に通用するんじゃないか、という感じ。
で、特にうまいな、と思ったのは、人間の認知能力の問題。隠れキリシタンの里、という前提で物事を見るからこそ陥る思考の罠。その結果としてのミスリード。この辺りの回収の仕方は素直に上手いと思う。
一応、キタローについて、とか、そういうものは語られているものの、色々と掘り下げられる部分はありそうだし、シリーズ化されるなら追いかけたい。

No.5115

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト

COMMENT 0