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獣に道は選べない

著者:額賀澪



恋した相手は、実は任侠狸団体の組長の娘だった。それでも、彼女と一緒にいるため、化け猫の千歳は任侠になるしかなかった。その中で、監視役だと思っていた不愛想で、不器用な男・諏訪は、いつしかかけがえのない相棒に。そんな諏訪が、駆け出しミュージシャンの女性の元に足繁く通っていることを知り……
なんか、タイトルとか、表紙とかの雰囲気は大きく違っているけど『猫と狸と恋する歌舞伎町』の続編になる作品。
とは言え、物語の中心は、千歳が、諏訪のために動く、という話。千歳と椿の話はあまり出てこない。
話の筋としては、監視役として一緒に過ごすことになった諏訪が、多摩子という女性が行っている路上ライブをしばしば見に行っている、ということを知り、千歳も興味を持つことに。多摩子に絡んできたチンピラを追い払ったことがきっかけとなって、多摩子もまた諏訪のことが気になっていることを知り、二人のことを応援するのだが……
何と言うか……諏訪の不器用さ、その格好良さが光る。それこそ、高倉健の「自分、不器用ですから……」というような感じの行動しか取れない諏訪。でも、だからこそ、その不器用さに惹かれてしまう多摩子。それをはたから見ていて、もどかしいと感じお節介を焼く千歳。そのお節介に、戸惑い、時に怒りながらも少しずつ心を開いていく諏訪。そして、起こったトラブルでは、千歳も諏訪も……
刑事モノの小説で、はじめはそれほどでもなかった二人が……というバディモノとかを私は良く読むわけだけど、それとはまたちょっと違った切り口。でも、多摩子を巡ってのアレコレの中で、互いが心を開き、信頼し合っていく、という過程がしっかりと感じられた。
まぁ、諏訪が多摩子の近くにいた理由とか、そういうものは、千歳の思っていたこととちょっと違っていて……というところで、前作同様、結局、美味しいところを持っていくのは……というのは確か。でも、そうは言いつつ、諏訪は……だよな……
この辺りも、タイトルにかけてあるのかな? 主人公の千歳は、別に種族である椿と……、ということになった。ある意味で、それは諏訪と多摩子も同じ。しかし、ある意味、開き直れば……という部分がある千歳と椿とは違っていて、諏訪と多摩子は「生きる世界」そのものも違うと言える。その時に……
諏訪の不器用すぎる生き様。その格好良さ。だからこそ……
やっぱり、高倉健映画みたいな印象になるなぁ(笑)

No.5116

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