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傀儡のマトリョーシカ Her Nesting Dolls

著者:河東遊民



文芸部員である阿喰有史は、姉からの指名を受け、友人(部員)を集めていた。そんな中、勧誘対象である雑賀更紗がイジメを受けている、という情報を得る。半ば強引に入部され、他の部員と共にその犯人を捕らえることに成功する。だが、その犯人・横坂佳子は、クラスの中心人物である池永の命令でやっていた、と証言して……
第7回ラノベチャレンジカップ・佳作受賞作。
「傀儡のマトリョーシカ」、まさに、そのタイトルがしっくりと来る作品。
物語は、冒頭に書いた通り。イジメを受けていた部員候補を助け、その犯人を捕まえたと思ったら、その犯人に命令をした者がいた。そして、その命令を下したものも、何者かに脅迫されていた。そして、その上にも……。まさに、実行犯は誰かの傀儡であり、その上にもまた……というマトリョーシカのような側面を持っている。そして、その黒幕とは? という物語。どこまで行っても先が見えない。その本質とはいったい何なのか? その事件の構造が、まず面白かった。
その上での、有史と関係者とのやりとり。「これ」という言及はされていないのだけど、相手の言葉をそのままに受け取り、さらに、何だかよくわからない冗談を言う、というやりとり。いつも、どこかズレた物言いから始まるやりとりのユーモア(?)も好き。ここは多分、人によって好き嫌いが分かれそうな気もするけれども。
事件の真相……。これについては、理解できるような、理解できないような……。いや、理屈としてはわかるんだけど、でも、感情的には、とでも言うか……。でも、だからこそ、この事件が不可解なものになっていたのだろうな。
主人公・有史と姉の関係とか、そういうところは、もっと掘り下げられるのかな? と思いきや、思いのほかあっさりと終わってしまった感じはする。姉の思惑はわかるんだけど、そもそもの関係は? とか、その辺りが……。そこはちょっと不満かな?
ただ、独特のやりとりのセンス。そして、物語の大部分を覆う事件の構成、というようなものは大好物だった。

No.5118

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