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ふしぎ荘で夕食を 幽霊、ときどきカレーライス

著者:村谷由香里



家賃4万5000円。一部屋四畳半で夕食付。平凡な大学生・七瀬浩太らが暮らす深山荘は、そのオンボロな外観から心霊スポットなんて言われている。そんな深山荘では、確かに暗闇に浮かぶ怪しい人影やら、謎の紙人形など、不可思議なことが起こるのだけど、住人たちは全く気にしていなくて……
第25回電撃小説大賞・メディアワークス文庫賞受賞作。
何と言うか……とにかく、「温かさ」というのを追求した物語、なのかな? と。
住人は、深山荘の夕食を作ってくれる夏乃子さん。留年を繰り返している館の主的な存在の児玉さん。最近、ちょっとホームシック気味だという後輩の沙羅と言った面々。そして、粗筋で書いたように、建物はオンボロで、不可思議なことも起きるのだけど、あまり気にしない、というある意味、メンタル最強の面々(笑) まぁ、それぞれの事象がなぜに起きたのか? という部分はあるのだけど、推理とか、そういう部分に尺が割かれているわけではないし、結構、あっさりと境界線を越えたようなことを起こす人々だからなぁ……
で、そういう設定の中での魅力、というのは、とにかく、その包容力と言うか、そういうものなのだろうと思う。1編目が、突如現れる人影の正体は? それは……という話なのだけど、驚かせたことは謝りつつも、それすらあっさりと受け入れる面々。ホラーのような形に持っていくことも出来るだろう物語を温かさで貫く、というのがこの作品のなのだ、というのをまず示したエピソードだと思う。
そして、そんな物語のメインともいえる3編目。霊能力がある、という少年が訪れた。管理人的な役割の夏乃子に、それが取り憑いている、というのだが、その幽霊は、大学に入る直前に亡くなった少女の霊。自分たちの大学が好きで、深山荘に暮らしたい、という想いを抱いていた彼女が悪霊のはずはない、と言う浩太たちの言葉で……。この辺なども、しっかりと作品の雰囲気を踏襲している。そして、その事件がきっかけになって、さらにもう一つの秘密が明らかになって……
正直なところ、序盤はちょっと平坦な印象もあるのだけど、そこかしこで出ていた、ちょっと風変わりなところが全て繋がって、という構成は綺麗にはまっていると思う。そして、そういうことよりも何よりも、こいつら、楽しそうだな、という想いがそのまま伝わってくる、というところが本作の良いところだと思う。

No.5125

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