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作家の人たち

著者:倉知淳



小説家、文壇のようなものを題材にした短編集。全7編を収録。
著者の作品というと、猫丸先輩シリーズを始めとした、ユーモアを交えた語り口で綴られるミステリ作品、という印象なのだけど、本作にミステリ要素はない。純粋に、ある種の内情描写メインの作品という感じか。ただ、シニカル、というよりも、ちょっとぶっ飛びすぎて……という感じがしないでもない。
それでも、比較的、前半のエピソードは楽しめたかな?
1編目の『押し売り作家』。主人公は、各出版社の編集者。有名作家の紹介で「話だけでも聞いてあげて」と言われ、面会することとなった作家。作家とは言え、全く売れておらず、その作品を出したいとは思っていない。しかし、話だけ、と言いながらも、妙にやる気だけはあって……。「新本格ブーム」とか、そういう中で、雨後の筍のようにデビューした微妙な作家たちの成れの果て、という状況自体は興味深かった。でも、オチはイマイチ。
話として、一番、リアリティがあったのは2編目『夢の印税生活』。作家を目指し、新人賞に投稿し続けて、ようやく念願のデビュー。編集者の評価も上々。次々と作品を発表していくのだが……。まぁ、オチはこうだろうな、という感じがする。ただ、その中で作家として生き残ることがどのくらい大変なのか? そういうものを感じさせる話ではある。
オチの部分で好きだったのは、『持ち込み歓迎』。新たな才能を発掘するため、新人賞だけでなく、持ち込みも推奨しよう! と始まった企画。編集者の主人公は、その持ち込み会に挑むのだが……。それぞれ、小説を書いてこない面会者たち。「面白い話だから」と口頭でひたすら話し続ける者。テレビに出たいから、自分を作家にしろ! 文章はゴーストに書かせろ! と言うもの。そんなどうしようもない面々に憑かれた中、ようやく、小説を書いてきた面会者が出たのだが……。1編目とのつながりもちょっとあるのだけど、新人賞云々とかの話とかでも、「小説じゃないよ」ってのを出してくるのがいる、とか聞くだけに、そのオチも含めて楽しめた。
ただ、後半の話は、ちょっとぶっ飛びすぎていて……という感じ。『らのべっ!』はいくらなんでもあり得ないレベルでの話だし、『文学賞選考会』もなんかなぁ……という感じ。前半のエピソードは、ぶっ飛んだ部分はありつつも、ギリギリ、こういうこともありそうだ、という風に思えたのだけど、後半は明らかにあり得ないところに進んでいる感じがするのだ。
出版不況とか、一時のブームとか、そういう部分を背景にしている話だと思うのだけど、ちょっと後半のノリにはついていけなかった。

No.5139

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COMMENT 1

つねさん  2019, 06. 28 [Fri] 08:54

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