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黄昏旅団

著者:真藤順丈



妻・娘と共に施設に入所した桧山優作。だが、なぜか幼い息子だけは置き去りに。人生の大半を路上で過ごしてきた「落伍者」の青年・グンは、タイゼンと共に心象風景を示した「道」を歩み……
著者の作品は、それなりに読んでいるのだけど、その中でも特殊な設定、話のような感じがする。
まず言うと、物語を読み始めて、これはどういう物語なんだ? という戸惑いから始まったりする。というのは、主人公のグン。そんなグンを拾ったタイゼン。そして、アイラアイラという3人が出てくるのだけど、優作との関係はいったい何なのかよくわからない。そして、よくわからないままに優作の「道」へと入り込んでいく。そこは、その人間の人生を心象風景を通して辿っていく道……
最初はいったい何なのか? というところから、しかし、優作という人間の人生を辿る心象風景の旅が印象的で引き込まれ、だんだんと、優作の一家がどういう状況なのか? というのが明らかになってくる。そして、今度は、同じ団体の施設に監禁されている娘、妻の心象風景に入り込む中で、今度は、グン、タイゼンというのがどんな存在なのか? というのも明らかになっていって……
恐らく、読者が最初に感じるであろう戸惑い、というのも計算のうちなのだろう、というのを感じる。最初は何だかよくわからない。でも、心象風景を通した人生をたどる旅、というもので引き込めば、そこから一気に手の内に! という部分。そして、実際、その手口にまんまとハマってしまった、というのも読んでいて感じたところ。そうすれば、それまで明らかになっていなかった様々な設定の一つ一つが今度はサプライズとなって読者に降りかかってくるわけだから。どんどん読むスピードが加速していった感じだ。
物語全体を通してみると、「で、結局、何だったの?」と思える部分もあったりはする。ただ、人間っていうのは、生きているうちは、常に何かがあって、そのたびに心象風景も変わって……というのを繰り返すのだと思う。そういう意味では、ある意味、中途半端で終わったように感じるのも、グンの人生というのが、これからも続くから、ということなのだろうか? すごく好意的な評価をしている、という風に自分自身思うのは確かなのだけど。
人によっては「設定が活かしきれていない」とか、「中途半端」とか言う人もいると思う。というか、自分自身、そう思う部分はあるし。でも、この話、何か好きなんだよな。

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