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予言の島

著者:澤村伊智



ブラック企業勤めで心を病んだ宗作を励ますため、友人らと共に旅に出た淳。行き先は、瀬戸内海に浮かぶ島・霧久井島。そこは、20年前、当時、一世を風靡していた霊能力者・宇津井幽子が最後の予言を残した場所だった。しかも、旅に出たその時期は、彼女の予言により、「霊魂六つが冥府へ堕つる」時だという。島へ降り立って早々、宿泊予定の旅館から、「怨霊が下りるから」という理由で宿泊を拒否。かろうじて宿を見つけることには成功したが、翌朝、旅をしていた友人の一人が遺体となって発見され……
なるほどね~……
著者は、日本ホラー小説大賞の大賞を受賞してデビューした人。そして、これまでの作品というのは、社会問題などを取り入れつつ、しかし、超常現象が起こる、という形での話だったのだけど、今回は大分、毛色を変えてきた、という印象。
物語そのものは、冒頭に書いたような形で始まる。かつて、一時代を築いた霊能者が最後に訪れ、予言を残した島。島には、そんな霊能者に心酔するもの。否定的に思う者もいる。さらに、島の人びとは不思議な因習を守りつつも、何かを隠していて……
この作品のテーマとしては、「呪い」とは何か? というところだろうか。
「呪い」で、著者がホラー作品を書いている、というと、文字通りに禍々しい印象を抱くのだけど、そういうことではない。そうではなくて、ある言葉が存在しているからこそ、肯定にしろ、否定にしろ、何らかの形で意識してしまう。「呪い」というか、「言霊」というか、そういうものの力って、そういうものなのだろう、と感じてしまう。しかも、霊能力とかとは関係なく、ある意味、先天的な直観力などで、心理学的な方法で人を引き付けるだけの力を持っている人であれば余計に。不穏な空気と、その中の合理的な考察というもののバランスが絶妙で面白かった。そして、そんな「呪い」についての考察がされた中で……
これについては何も書かない(笑) 多分、びっくりするはず。
……これでもネタバレになっちゃうかな?

No.5145

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