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第四の暴力

著者:深水黎一郎



金策のために訪れた伯父の家。流れで、その家で一泊することになった樫原は、翌朝、昨日からの雨が続く中、家族の待つ自宅へと向かった。だが、家族の住む集落は土石流に巻き込まれ、家族もまた行方不明となっていた。そんなところにやってきたのは、マスコミの取材陣……(『生存者一名あるいは神の手』)
からの連作短編……なのかな?
なのかな? なんて書いたのは、ちょっと不思議な構成になっているため。
冒頭で粗筋を書いた1編目は、物語としては素直に作られている、といえよう。災害にあった村。家族の安否もわからない人々でごった返す避難所。そこにやってきた取材陣。救出活動の邪魔になるような形でヘリを飛ばし、さらに、家族の安否が気になる樫原にも容赦なくマイクを向ける。そして、その家族が発見されたときに放たれた一言は……
まぁ、実際問題として被災地で……とか、そういうのはよく言われていることであるし、また、何か事件があった際、そこを取り囲む取材陣の態度が……とか、そういうのはよく指摘されること。その意味では、ある意味での問題提起になっているのだろうし、その事件の数年後。彼が再会した当時のレポーターが語ったこと。それは……ここもまた……。被害者と加害者とは? そういう部分で上手くまとまった作品と言える。……が、その結末にある二択が用意され、残りの2編は、それぞれのその後、という形で綴られていく。
ちょっとネタバレにもなってしまうので、残りの2編については書かないのだけど、どちらもかなり皮肉の聞いた話であり、同時に、メディア関係者の傲慢とでも言えるような形で話が進む。進むのだけど……流石にちょっとぶっ飛びすぎかな? なんて思いも抱いたりする。特に3編目辺りは……
というか、色々と傲慢だ、とか、そういうのは言うけど、ある意味で、メディアと視聴者って共犯関係ではあるんだよね。メディアが取材の中で「こういうことをしていた!」なんていうのがネットなどで盛り上がる。でも、それはそれで、我々、見ている側がそれを見て「マスコミこそ悪だ!」とか言って楽しんでいる、という側面というのは見逃せないわけだし。
正直なところ、そういう部分とかも描いてほしかったな、というのも思ったりはする。

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