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流星の下で、君は二度死ぬ

著者:藤石波矢



幼いころ、火事で父を亡くしたみちる。そのショックなのか、彼女は、しばしば、「人が死ぬ」予知夢を見るようになってしまった。そんな彼女のことを唯一知るのは、従兄弟の一美。そんなある日、みちるは再び予知夢を見る。そこで見えたのは……丁度、みちるの学校で用務員の仕事をしている一美で!?
著者らしく、テンポよく進んでいく物語が何よりも楽しかった。
物語の入りとしては冒頭に書いた通り。予知夢を見ると、人が死ぬ。そんな体質を持ったみちるは、ある日、その夢を見た。しかし、その夢で誰が死ぬのかよくわからなかった。だが、なぜか2回目を見て、そこには一美が……。幸い、何時に起きるのか? そして、一美が、というのが判明。ならば……と、夢の実現の阻止へ。それは成功した、に思えたが……なぜか、クラスメイトの渡辺くんが……
施錠された密室状態の屋上。そこへ渡辺くんが入っていくのを見た、という証言はたくさん集まる。しかし、なぜ、彼は殺されたのか? そんな渡辺くんは、みちるのクラスで、不登校状態が続いている穂花と頻繁にやりとりをしていた。では、なぜ穂花は不登校になってしまったのか?
被害者である渡辺くん一体、何をしていたのか? から、彼とやりとりを重ねていた穂花がなぜ、不登校になったのか? そこにあったのは、彼女が、サッカー部の主将と付き合っていたが、暴力を振るわれた、と触れ回った、というが……、と文字通りに次々と物語が展開していくため、次々と現れる新事実に「次はどう転がる?」という気持ちが続き、どんどん読み進めることが出来た。
そして、その中であるのは、ある意味で「それぞれの正義」と言ったところだろうか? 穂花が付き合っていたサッカー部主将は、周囲から「公正明大で、暴力など振るわない人」と言われる存在。だからこそ、穂花を虚言壁がある、と攻め立てた。しかし、穂花と主将では「普通」の基準が違っていた。さらに、渡辺の行動もまた……。そして、犯人のそれも……。勿論、ちょっとした悪意はある。あるのだけど、でも、その悪意云々も、元をただせば正義感から……。そういう部分の印象が強く残った。
その上で、物語全体としては、過去の予知夢のエピソードとか、そういうものを含めて、予知夢のあり方についてのトリックとか、はたまた、ちょっとしたエピソードがしっかりと意味を為していた、という伏線の作りも上手い。色々な角度から見て、しっかりと作りこまれた作品だな、というのを思う。

No.5153

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