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白魔の塔

著者:三津田信三



建国大学に学び、様々な職を経て、灯台守となった物理波矢多。赴任先として配属されたのは、秘境の地である轟ヶ崎灯台。船で行くにも、陸路で行くにも困難な地。そこへ向かう先で、物理は奇妙な出来事に出会い……
物理波矢多シリーズ第2作。
著者の作品らしく、ホラーとミステリの融合という形を踏襲した作品と言える。
……なんというか……読んでいて思うのは、読んでいる最中はそれほど「怖い」という感じはしなかったかな? ということ。
物語は3部構成。第1部で、物理が灯台守として就任先の轟ヶ崎灯台へ向かう道中。近くの街で、案内人を雇い、灯台への道を歩むこととなるが、村人の反応はなぜか微妙。そして、案内人は途中で職務を放棄し、森では次々と奇妙な出来事が。それでも、ようやく灯台へ辿り着いて……。そして、第2部。そこでは、灯台長が、轟ヶ崎灯台へ赴任してからの出来事が語られる。
そこで灯台長が語るのは、そこを訪れるまでの奇妙な出来事。しかし、物理を本当の意味で慄かせるのは、奇妙な出来事が起きている、ということではなく、ここを訪れるまでに起きたことが物理の体験したこととソックリであること。そして、灯台長は、轟ヶ崎灯台に辿り着いたのちのことも語りだすのだが、そこにも次々と奇妙な出来事が……
こうやって書くと、しっかりとホラー要素があるじゃないか! という感じなのだけど、確かに、森に潜むという「白もんこ」なる存在らしき影がちらつく。そして、その森に暮らす巫女の母娘がいて……というものはある。あるんだけど、じゃあ、物理に具体的な危機が訪れたのか、というとそうではないし、人為的なもの、でも説明できそうな感じがする。そのため、おかしな感じはしても、怖い、という感じではないのだ。そして、第3部で、灯台長に起きた出来事について、物理が推理をしてみせるのだが……
と、来たところでのラストシーンが衝撃的。ミステリとしてはアンフェアな感じもする。でも、それまで、どっちつかず、というかそういう感じで来た話が一気に「ぞくっ!」とするような形になった感じ。この衝撃はなかなか出会えないと思う。
途中まではイマイチかな? とも思ったのだけど、最後まで読んで一気に評価が覆った。

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