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ハル遠カラジ2

著者:遍柳一



AIの精神をむしばむ病・AIMD。その治療が出来る医工師を求め、チベットを訪れたテスタたち。イリナと触れ合う中、徐々に人間世界への興味を抱くハルらを伴い、難民街の廃校へ立ち寄った一行は、そこで人間の遺体を積んだパワードスーツの襲撃を受けて……
エラく積みまくっていた2巻。
第2巻は、文字通りに、AIたちと、主人の関係っていうところ、かな?
1巻で、テスタがハルの「お母さん」的な立ち位置で、っていうのが綴られたのだけど、今回は襲撃してきたAIのアニラ。さらに、訪れた先の喫茶店でマスターとして店を守るピングー。そのピングーの店へ物資を運び込む「運び屋」のピピン。人々が消失した、世界で、それでもマスターの思いを引き継いで、その日常を守ろうとしているAIたち。イリナとの出会いもそうなのだけど、AIたちとの出会いの中で、少しずつ年相応の少女らしさを芽生えさせていくハル。勿論、随分とあらっぽかったり、はたまた、人間社会のルールから逸脱した部分はあるけど、それでも……。そして、そんなハルを見守るAIたち。
冒頭、そして、終盤にバトルそのものはある。けれども、それ以上にこの巻で印象に残るのは、AIたちの主人、そして、人間に対する想い、といったもの。テスタと違って、ズケズケとモノを言うアニラだけど、それはちゃんとハルのことを想ってのものだったり、はたまた、主人が残した想いをしっかりと引き継いで、客の来ない喫茶店を守り続けているピングーあたりは特にそれを強く感じさせる。
そんなAIたちと、ハルのやりとりを見てテスタが思い出すのは、ハルを拾った日、友として日々を送った友のこと。
人間とAIの関係性っていうのがテーマになっているんだけど、こうなってくるとAIたちが、人間と変わらない、っていうのが強く感じられる。確かに、主人のために、というのはある。でも、例えば、家族などのことが第一で、その上で周囲の人々とも付き合って、というと人間だって同じはず。そう考えると……
そして、終盤に出てくるモディン。彼は、本当に、「人間らしさ」というか、なんか、親近感が沸く、というか。皮肉屋で粗探しなどをしながら、しかし、じゃあ、ハルについて、何もしないのか、というとそんなことはない。でも、本人は、自分は責任を負っていない、という意識があって……。
相変わらず、色々と荒っぽいけど、でも、テスタを始めとして仲間の為なら……というハルのまっすぐな「本質」という締めも良い。
世界観そのものについての謎とかも色々と示唆されてきているのだけど、それ以上に、AIたちと人間の関係性というのが掘り下げられていて、面白かった。

No.5205

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