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むしめづる姫宮さん

著者:手代木正太郎



虫の魂が漂う、という宮城県宮城郡浦上町。そこでは、時に虫の魂が、未熟な思春期の若者の魂に引き寄せられることがある、という。ひっそりと過ごしたいという有吉羽汰は、気づくと身の丈に合わない「おせっかい」を自分の意思に反して行うようになってしまう。そんな状況を祖母に相談すると、「山の上の姫宮さん」のところへ行くように勧められる。だが、そこにいたのは、昆虫のことが大好きな引っ込み思案なクラスメイトの姫宮凪で……
プロフィール欄やあとがきでも触れられているのだけど、著者というと、デビュー作『王子降臨』の印象が強すぎてイロモノっぽいイメージを持っていたのだけど、本作はそういうイロモノっぽさはなく(?)、実にまっすぐな青春モノ。
物語は3章構成。第1章は、主人公の羽汰がどういうキャラなのか? そして、どういう状況になったのか? そんな説明がされる。同級生らと比べても身体が小さく、「アリンコ」と言われたりする羽汰。目立たないように、という生きる彼だったが、ある時をきっかけになぜか、身の丈に合わない行動を取るようになってしまう。しかも、その時には、なぜか虫の羽音が頭の中に……。そんな中で、問題を解決できる、という姫宮さんのところに行くが、そこにいたのはクラスメイトの凪だけ。問題を解決できる、という凪の祖父は既に他界しており、とりあえず虫に憑かれているか? ということだけを確認して……
ここまでは、どう進むのかな? と思ったら、2話の幼馴染のエピソード。ストリートダンス部のエピソードという形で一気に面白くなった。
美少女であり、成績優秀。特に素数を心から愛する幼馴染の瀬川。しかし、ここのところ、不登校気味……。一方、3話は、最近、素行不良の生徒が増えた気がする。しかも、その素行不良の生徒は、なぜか黒い(日焼け的な意味で) そんな彼らは……
それぞれ、「虫」が関連している、ということは間違いない。そして、そのことが、異常な状況に……。その中に、それぞれの置かれた状況があり、その願いが「虫」の魂と共鳴して……。ヒロインたる姫宮さんの、引っ込み思案だけど、虫のことに関しては知識豊富で、ひたすら熱っぽく語るキャラクターによるヒントと、普段は卑屈だけど、でも……という主人公・羽汰の「おせっかい」(虫のせいではなく)で、解決していく様は、ファンタジー系ミステリという感じで楽しかった。
自分自身は、小学校時代に昆虫標本を自由研究として出したりしたし(なお、カブトムシの標本の横にしれっと頭文字Gの標本とかを置いたりした)、そもそも、ド田舎育ちで、虫とかはその辺にいることもあり、それなりに虫については知っているつもり。でも、「なるほど!」と思うような昆虫に関する蘊蓄とか、そういうのもあって、うまく物語と融合させていたな、というのを思う。
一応、羽汰についていた「虫」の正体とかもわかったわけだけど、解決したわけじゃないし、このファンタジーと蘊蓄の融合っぷり、そして、ひっこみ思案ながら、それが可愛い姫宮さんがどうなっていくのか? そういう楽しみが沢山あるだけに、続編にも期待。

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