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渋谷隔絶 東京クロノス

著者:小山恭平



渋谷に本家を構える政治家一家・神谷家。そんな神谷家の面々が渋谷の街に生じた異空間へと閉じ込められた。そして、その空間では、「神谷家に不要な者」を消し去るための「剪定選挙」が行われることに。冷徹な父を毛嫌いする神谷家の次期当主の少年・才は、自分の愛する咲恵を守るため、その選挙に参加することになるのだが……
著者がシナリオを担当するVRゲーム『東京クロノス』のノベライズ……というか、スピンオフ作品……らしい。
最初に書いておくと、この神谷一族という設定。政治家として、常に「大衆の多数派に迎合せよ」っていうのだけど、政治家として、そういうのって一番、信用されないんじゃない? 少なくとも、簡単に前言撤回。しかも、支持者だろうとひっくり返す、というような状態じゃ、後援会とか、そういうのも育たないし……
とは言え、デスゲームモノとしてなかなか楽しかった。物語の中心となる神谷家は、とにかく、選挙と名のつくものに執着する。そして、この選挙は週に1回ずつ行われ、最も得票を得たものが処刑される。投票対象となるのは、神谷家の血を引くもの(つまり、外から嫁いできた女性とかは除外される) また、投票以外の形で、「剪定」(に準じる行為)をすると反対に処断されてしまう。そんな状況の中、才は、兄・衣緒に従って生き残りを図り……
一族、と言いつつも、それぞれの置かれた状況に対する不満だったり、野心だったりがある。その中で、状況を有利に進めるため、派閥を作る。そんな中で、しかし、相手も選挙対策などに長け、ここ一番での割り切りが出来る者たち。思わぬ失態もあり……。そんなやり取りをする中で……
ルールの抜け穴。人間だからこそのアレコレ。そして、そのような状況で人の心を操ってという存在。その存在の中にあるもの……。目まぐるしくそれぞれの立ち位置が変わっていく、という流れに惹きつけられる。
まぁ、主人公・才の年齢設定が10歳っていうのはあまりにも違和感があるし、終盤、ちょっと詰め込みすぎというのは思う。分量的な問題で仕方がないのだけど、もうちょっと……っていうのは勿体ないかな? でも、面白かった。

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