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彼女は死んでも治らない

著者:大澤めぐみ



沙紀ちゃんは、いつも殺されがちな、最高に可愛い女の子。わたしは普通じゃないレベルで彼女のことを好きだから、凶悪な犯人を何度でも見つけ出してやる! と、四六時中息巻く神野羊子。と、そんな羊子は、高校に入学早々、校内で沙紀の死体を発見。彼女の命を救うため、お得意の推理を巡らせるが……
最初に書いておくと、物語は冒頭から沙紀が首を切断された上に、逆さづりにされた状態から始まる。「沙紀の命を救うため」って、いきなり死んでるやん! と思うところなのだけど、羊子が沙紀を殺した犯人を名指しすると沙紀は甦り、犯人は謎の黒い闇へと吸い込まれてしまう、という設定。なので、「命を救うため」であっている、という寸法。
で、本作について、裏表紙の粗筋では、「コージーミステリー」とあるが、ミステリーか、これ?(笑)
いや、確かに、沙紀の遺体を発見した羊子が、助手の昇と共に事件の推理をする。その中には、こういう状況は? とか、そういう部分はあるわけだけど、同時に、ミステリのお約束を笑い飛ばすようなメタミステリ設定があったり、はたまた、犯人の名指しについても、「探偵であり、警察ではないから」と強引なやり取りもある。どちらかというと、論理で犯人を絞り、追い詰めて……というよりも、屁理屈を並べ立てて、相手がボロを出すのを待つ、という感じだろうか。それにしても……と思う、序盤のエピソード。ところが、それが……
その強引な手法に対する疑問の噴出。そして、その中で露わになってくる……というか、そもそもは最初から気にしなければならないはずの、沙紀が殺され、犯人が指摘されれば犯人と引き換えに沙紀が甦る、ということの意味。
大切に思っている、という言葉の残酷さ。その中での反転。勿論、この作品はフィクションだし、しかも、言辞的なところから乖離したファンタジー要素も多くある。しかし、だからこそ、というか、そういうファンタジー要素が多いからこそ、こういうエンディングに落ち着かせることが出来たのではないか? とも思える。最も、うまくいきすぎ、とも思うが。
そういう意味でも、形式はミステリー。でも、内容は青春モノ。そういうことになるんじゃないかと思う。

No.5229

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