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夏の終わりに君が死ねば完璧だったから

著者:斜線堂有紀



片田舎に暮らす中学生・江都日向。劣悪な家庭環境もあり、将来に全く希望を見出すことが出来ない彼は、サナトリウムに入院する大学生・都村弥子と出会う。金塊病。不治の病にして、身体が金塊になってしまう、という病を患った弥子は死後、自らの相続を日向に持ち掛ける……
物事の「価値」と、それを前にした人の感情、と言ったあたりがテーマと言えるのかな?
過疎化が進む村を発展させようと、様々な事業を試みて失敗し、現在は引きこもり状態となってしまった義父。その義父の失敗と正比例するように、金塊病のサナトリウムに反対する母。家庭を顧みず、全てを活動に注ぎ込む母に問題があるのは分かっているが、しかし、村を出ることも許されず、中学生であるがゆえに何も出来ないでいる江都。そんな彼の前に現れた金塊病を患った女性・弥子。なぜか、自分を相続させると言い出した弥子。ただし、その条件はチェッカーというゲームで彼女を倒すこと。
現実問題として、弥子がやがてなる、という金塊を手にすれば、その境遇から抜け出すことは可能。しかし、なぜ、自分を相続人に? という疑問は尽きない。それでも、チェッカーに付き合うのだが、だんだんと、金塊などよりも弥子自身に惹かれていき……
江都にとって、想い人である弥子。それだけに、だんだんと身体が弱っていく様、その中で自らの感情に揺れ動く弥子を見るのは辛いものがある。だが、その一方で、全く将来に希望を見いだせない、という状況で金塊は大きな魅力にもなる。さらに、その相続のうわさが広まる中で、押し寄せるマスコミ。そんな状況の中で、それまでとは違った顔をのぞかせる養父、さらには母……。そのような中で……
江都にとって最も大事なものは何なのか? 弥子にとって?
金が人を変える、じゃないけど、でも、金がなければ生活が出来ない。何かを始めるにも、それは必要。その中でのエゴ。でも、思うこと。最適解が存在する、というチェッカーというゲーム。では、二人の出した答えは? この結末は、賛否がありそうだけど、この結末は、そんな金の魔力を超えた想いがあったから……なのではないかと感じた。

No.5235

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