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月とライカと吸血姫5

著者:牧野圭祐



宇宙開発が停滞し、上層部の人命軽視と隠蔽体質が現場に重くのしかかる共和国。宇宙開発競争は資金力と組織力を武器にする連合王国の優勢になりつつあった。そんな情勢の中、レフの同期であるミハイルとローザが結婚する、という知らせが飛び込む。しかし、この結婚もまた、共和国よって仕組まれた強制結婚で……
物語そのものの雰囲気が一気に変わってきたな、という印象の巻。
これまでの巻というのは、冷戦時代の米ソを彷彿とさせる世界観はありつつも、各巻の焦点となる部分は宇宙開発であったり、国内の差別問題であったり、というものを劇的に変える(契機となる)事件という部分であった。しかし、今回は、というと、とにかく、ソ連がモデルとなった共和国の体質、その中でのアレコレという部分へ。
二大超大国という立場で、開発の成功などをアピールせねばならない共和国。しかし、そのアピールの陰にあるのは隠蔽と虚飾にまみれた実態。人名などは軽視され、現場では、ただただ予定が優先されてしまう。そんなところに降って湧いたミハイルとローザの結婚。しかし、これすらも。しかも、結婚し、幸せの中に、と思われた矢先での悲劇……
私自身、ソ連のアレコレとかには、それほど詳しいとは言えないのだけど、共産圏やら、当時の開発独裁国家でのアレコレというのは、間違いなくあったはずだし、その影では……きっと、こういうこともあったのだろう。そして、そこへと反発を覚えながらも、何も出来ないレフやイリナの無力感。また、そのことが、何も知らない人々を騙している、という罪悪感。その中で、一つの行動へと、レフ自身も動き出していくのだが……
完全にこの終わり方は政争へ……ということなんだよね。しかし、その話を持ち掛けた存在も、決して一筋縄ではいかない存在。それだけに、そこへ巻き込まれたレフ、そして、イリナが、というのが気になるところ。

No.5236

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