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本と鍵の季節

著者:米澤穂信



利用者のほとんどいない放課後の図書館。図書委員の堀川は、同じく図書委員の松倉と共に当番を務めている。そんな二人の前に、奇妙な謎が舞い込んで……
という形での連作短編集。全6編を収録。
著者の作品と言うと、ビターな後味、という感じなのだけど、この作品の場合、1編目からかなり強烈。
1編目『913』は、女性の先輩からの依頼で、祖父の金庫を開けるための番号を探ってほしい、というもの。謎解きのため、祖父の遺した言葉をヒントにしていくのだが……。単純な暗号は? という謎解きかと思えば、その金庫のある先輩の家でのアレコレから別の真相が出てきて……。……いや、これ、苦いとか、そういうレベルじゃなくて……って感じなんですけど……
逆にビターどころから、綺麗な落としどころ(?)っていうのは、3編目の『金曜に彼は何をしたのか』。学校内でも素行不良と言われている兄が、金曜の夜、学校の窓を割ったとして疑われている。このままでは退学の可能性も……。堀川たちは、兄の行動を探ってほしい、と図書委員の後輩から頼まれるのだが……
普段の素行の悪さに、色々と疑念も持っている後輩。そんな中、丹念に、兄の行動を探っていく二人。そのような中、浮かび上がってきたのは、兄の意外な行動。素行不良な兄の、意外な一面。そのところで、ハッとさせられて……ガラス事件の意外な真相。お前~!!(笑)
そんなエピソードを重ねながら描かれていく、友人であるはずの堀川と松倉の性格の違い。家庭環境の違い。そういうものがクローズアップされて行き、やがて、松倉が探している「鍵」の話へと進んでいって……。仲が良い、としてもどうしてもある壁。それゆえに生じる嫉妬やら、何やら。それは、努力やら何やらをしたからと言って……
そういう意味ではビターな後味。でも、じゃあ、嫌なモヤモヤだけが残る形か? と言えば、そうではなく、ほっとする部分もある。そんな読後感が印象的。

No.5241

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