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絵に隠された記憶 熊沢アート診療所の謎解きカルテ

著者:一色さゆり



心理学を学ぶ大学院生・日向聡子は、インターンとして、熊沢アート診療所に派遣される。絵画療法の第一人者・熊沢の元へは飛行機恐怖症のサラリーマンやユニコーンの絵ばかりを描く少女などが訪れて……
という連作短編集。
著者の作品と言うと、デビューから2作が芸術を巡っての物語。本作も絵がテーマになっている。ただし、今回は芸術作品とか、そういうことではなく、心理状態などを判断するために描かせるもの。そして、患者たちが描く絵から、彼らが抱えている悩み、問題は何なのか? そういうものを解き明かす、というミステリ作品になっている。
正直なところ、私自身は心理学とか精神医学とかに詳しいとはいいがたい。何となく読んだ本とかで、聞きかじり程度のアレコレはともかく、体系だって学んだわけではないので。なので、この作品の蘊蓄などが正しいのかどうかはわからない。でも、読んでいて面白かった。
絵を描いてもらう。そのことを通じて、その人が何を感じているのか? 何を見ているのか? そういうヒントが色々と散りばめられている、というのは、確かにその通りだと思う。例えば、家族を描いてください、というとき、それぞれの人間がどういう服装をしているのか? なんていうのは、そのまま、その人の持っている家族(または、その人物)に対するイメージになるだろうし、同じものを描くとしても、大雑把なイメージのような絵なのか、それとも、細部にこだわるのか、なんていうのは描いた人の性格とか、そういうものが現れる。ただし、その一方で、絵だけでわかるのか? というと、そんなことはなく、本人を知らねば読み解けない。患者とのやりとり、その中で試行錯誤をして、という辺りの積み重ねで、というのはリアリティがあった。
そして、そんな中、聡子自身が、自分の過去に向き合うことになっていって……
先に書いたように、謎の性質上、読者が謎を解いて……っていうのは難しい。その割に、何となく聡子自身の過去などについては良そうで来たりする(作品のパターン的に) ただ、先に書いた試行錯誤の過程、さらに落ち着くべきところに落ち着く安心感がある……かな?

No.5249

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