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帝国の勇者 世界より少女を守りたい、と”まがいもの”は叫んだ

著者:有澤有



「勇者殺しはどこだぁ!」 ベルカ帝国が誇る無敵の異能兵士「帝国の勇者」が反乱軍に殺害された。事態を重視した帝国は、勇者カイムを報復のために派遣する。しかし、カイムの前に現れたのは、死んだはずの勇者で、カイムの想い人でもあるシオンそっくりで……
第11回GA文庫大賞・奨励賞受賞作。
正直なところ……読み始めてしばらくは、物凄く読みづらい、と感じた。いや、文章力が、とか、そういうことではなく、序盤、いきなり多くのキャラクターが登場し、入り乱れての戦いが開始。序盤に関しては、作品の世界情勢とか、そういうのがよくわからないままで始まったため、ちょっと混乱した部分がある。
ということで、そこを整理すると……。まず、帝国は、ハルダート王国という国と戦争をしていた。しかし、ハルダートは敗北。和議の為、王女エリーゼは、和平交渉へと向かっていた。その護衛と、勇者殺しの捜索を任されていたのが勇者カイム。そんなカイムたちの前に現れ、自分がいれば勝てる、とエリーゼ奪還を始めたのが、殺されたはずのシオンそっくりの「勇者殺し」レオン、という構図。
この構図がわかってから、一気に物語に入り込めたし、面白くなっていった。
エリーゼを守り、仲間たちと逸れてしまったカムイ。本来、エリーゼの護衛という任があるカイムだったが、レオンを追うことを優先しようとする。その一方で、エリーゼは、さらなる戦いを望んでおらず、ならば、カイムに自分をエサにすればよい、と持ち掛けて……と続いていく。
物語の見どころという点では、やはりカイムのシオンへの思いの強さ、だろう。
帝国の勇者として活動をしているカイム。しかし、彼の心に帝国への忠誠というのがあるわけではない。極貧の幼少期を過ごし、家族となったシオン。そのシオンと生活をする上で、給金が良かったから仕えているに過ぎない。その心にあるのは、シオンだけ。だかこそ、エリーゼの護衛など…….そんなカイムの前に立ちはだかるレオン。300年前、人々を守るために現れた「真の」勇者。しかし、人々の策略により葬られた存在でもある。だからこそ、人間の間での争いのために、その力を人為的に植え付けられた「まがいもの」の勇者を憎み……
異能バトルが主ではある。でも、その中に、世界観とか、そういうものをしっかりと落とし込んで、かつ、登場人物を絞り込んで、カイム、レオンのぶつかり合いに絞ったのは熱く、面白かった。先に書いたように、序盤が、ちょっと分かりづらいのだけど、読んでほしいな、と思う。

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