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傲慢と善良

著者:辻村深月



婚約者の真実が失踪した。2か月前、ストーカーに追われている、という訴えから始まった同棲生活。警察にも、そのことを訴える架だったが、警察は相手にしてくれない。架は、自ら、真実を探すことにするのだが、そこで、真美の過去に向き合うことになり……
著者の作品って、友人関係、家族関係とか、そういうものに関する暗い面。逃れがたい作品、というのを題材にしたものが結構、多い印象なのだけど、本作もその系統に入る作品と言って良いと思う。そして、その中で描かれるは、親の支配。そして、「良い子」とは? と言ったところだろうか。
物語は、現在の架が、真実を探すにあたって、彼女について知る人々に話を聞く。そして、架自身が、それまでのことなどを思い出して……という形で展開していく。その中で描かれていく、真実のこれまでの日々。
親の言うことを聞く真面目な子。そんな印象で描かれる真実。しかし、それは言い換えれば、自分がなく、何もできない、ということ。親は、何でも先回りして、こうしろ、と指示。学生時代は、とにかく真面目に、恋愛だとか、そういうものはするな! というのに、社会人になれば途端に全く逆に……。さらに、その相手とか、そういうものについても、自分自身が……という以前に色々な雑音が……
これ、架自身もそう感じるように、そんなのは無理だ、という風にも思える。
これ、多分、刺さる人には無茶苦茶に刺さるんじゃないだろうか。親の干渉というか、何をするにしてもまず、周囲の評価というものがついてまわる。従えば従うほどに乖離していく、自身の望みとの違い。自分を侮る親の言葉。こちらからすれば、「そっちが望んだのではないか」という想い。そういうのを乗り越えてこそ、自立だ、と言えばそうなのかもしれない。でも、田舎育ちだったりすると、親だけじゃなく、社会そのものも、そういうプレッシャーをかけてくる、というのも事実で……。その追い込まれる状況って、自分には物凄く身近に感じられた。
まぁ、そういうキツい状況があるだけに、終盤の終わり方は、そんなにすぐに変われるものか? という部分があったりするので、ちょっと拍子抜け、という感じはするのだけど……

No.5260

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